アニメーションダンスとポッピングの決定的な「違い」とは

アニメーションダンスの「全体像」の基礎から練習方法までを全12回にわたり解説していくシリーズの第3回目です。
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アニメーションダンスとポッピングの決定的な「違い」とは

本解説でも便宜上、アニメーションダンスとアニメーションスタイルをひとまとめにして「アニメーションダンス」と表記することがありますが、クリエイティブの観点からすると、アニメーションダンスとアニメーションスタイルは分けて理解しておく必要があります。

なぜならアニメーションダンスとアニメーションスタイルには、それぞれ表現する内容に違いがあるからです。

アニメーションダンスとアニメーションスタイルの違いとは、簡単に説明すると、ダンスのジャンルの「アニメーション」と「ポッピング」の違いのことです。

つまり、ダンスのジャンルの「アニメーション」と「ポッピング」の違いについて理解することは、アニメーションダンスとアニメーションスタイルの違いを理解することでもあります。

そこでシリーズ第3回目の今回は「アニメーションダンスとポッピングの違い」にスポットを当て、この2つの決定的な「違い」について詳しく解説していきたいと思います。

アニメーションダンスとポッピングの違い

まずはじめに「アニメーションダンスとポッピングの違い」についてまとめると次のとおりです。

1. アニメーションダンス

ダンスのジャンルの「アニメーション」を専門とするダンスのこと。

2. ポッピング

ダンスのジャンルの「ポッピング」を専門とするダンスのこと。

※「アニメーションスタイル」とは、ダンスのジャンルの「ポッピング」の配下にあるスタイルの一つのこと。

1. アニメーションダンス

アニメーションダンスとは、ダンスのジャンルの「アニメーション」を専門とするダンスのことです。

このダンスは1984年公開の映画「ブレイクダンス」(Breakin’)でブガルー・シュリンプ(Boogaloo Shrimp)(※1)が披露したことによって世界中に広まりました。

この映画でブガルー・シュリンプが表現していたアニメーションダンスが、「可動範囲の制限を解放したロボットの動き」の要素と、カートゥーンアニメーションの「パラパラ漫画を細かく滑らかに映し出した動き」の要素を組み合わせることによって表現される「流れるように動くロボット」、すなわち「リキッドアニメーションスタイル」です。

※1:マイケル・ジャクソンが自身の「ムーンウォーク」と「アニメーションダンス」を確立していく過程において影響を受けたレジェンド。「リキッドアニメーションスタイル」のオリジネーター(考案者)。1983年から1991年までマイケルのソロパートのアドバイザー(パーソナルポッピングインストラクター)として、1984年のジャクソンズヴィクトリーツアー以降のBillie Jean終盤の間奏部分のダンスパートをはじめ、ムーンウォーク(バックスライド)を含む一連のパフォーマンスを完成度の高いレベルまで引き上げる仕事にたずさわった。

リキッドアニメーションスタイル

ブガルー・シュリンプの「ほうきを使ったソロパフォーマンス」シーンでは、「ほうきを左右に振りながら掃除をするしぐさをモチーフとした表現」の部分でアニメーションダンスのリキッドアニメーションスタイルを表現しています。

2. ポッピング

ポッピングとは、ダンスのジャンルの「ポッピング」を専門とするダンスのことです。

このダンスはエレクトリックブガルーズ(Electric Boogaloos)(※2)が当時全米で最先端のストリートダンスを発信していた音楽番組「ソウルトレイン」へ1979年に出演したことによってウエストコースト(西海岸)から全米へ広がり、前述の映画「ブレイクダンス」でポッピン・ピート(Popin’ Pete)(※3)とポッピン・タコ(Pop N Taco)(※4)のタッグによる存在感あるパフォーマンスによって世界中に広まりました。

※2:ブガルー・サム(Boogaloo Sam)(※5)によって1977年に結成された伝説的ダンスクルー。曲のビートに反応してポーズを形成した直後に身体の各部位を同時に弾いて表現する「ポッピング」(Popping)と、腰・ひざ・頭などの身体のあらゆる部分のロールを自在に使いこなすことによって流動的に表現する「ブガルー」(Boogaloo)の2大ダンススタイルを世に送り出した。なお、結成時の1977年は、エレクトリックブガルーロッカーズ(Electric Boogaloo Lockers)の名称でカリフォルニア州フレズノを本拠地としていたが、1978年にカリフォルニア州ロングビーチへ移転後「エレクトリックブガルーズ」へと改名した。

※3:1979年にエレクトリックブガルーズが当時全米で最先端のストリートダンスを発信していた音楽番組「ソウルトレイン」へ出演した時の5人のレジェンドメンバーの一人。マイケル・ジャクソンの作品にはショートフィルム「Beat It」(1983年)、ディズニーアトラクション体感型3D映画「キャプテンEO」(1986年)、ショートフィルム「ゴースト」(1996年)などに出演した。なお、ポッピン・タコとはキャプテンEOの終盤でマイケルの後列でパフォーマンスする2体のロボット役でも共演している(※参照:YouTube)。

※4:マイケル・ジャクソンが自身の「アニメーションダンス」の表現を確立していく過程においてブガルー・シュリンプと共に影響を受けたレジェンド。「ストップモーションアニメーションスタイル」、「アニマトロニクススタイル」のオリジネーター。1983年から1997年までマイケルのパーソナルダンストレーナー(クリエイティブコンサルタント)として、ポッピングとアニメーションスタイルのすべてをマイケルに伝授した。また、マイケルの作品にはディズニーアトラクション体感型3D映画「キャプテンEO」(1986年)、映画「ムーンウォーカー」のSmooth Criminal(1988年)、ショートフィルム「ゴースト」(1996年)などに出演した。

※5:エレクトリックブガルーズのリーダー。曲のビートに反応してポーズを形成した直後に身体の各部位を同時に弾いて表現する「ポッピング」と、腰・ひざ・頭などの身体のあらゆる部分のロールを自在に使いこなすことによって流動的に表現する「ブガルー」を創り出したオリジネーター(考案者)。マイケル・ジャクソンの作品にはショートフィルム「ゴースト」に出演した。

ポッピング

映画「ブレイクダンス」のバトルシーンでは、ポッピン・ピートとポッピン・タコのタッグによる息の合った存在感あるポッピングを披露しています。

アニメーションスタイル

なお、ダンスのジャンルの「ポッピング」の配下にはポッピング(Popping)(※6)やブガルー(Boogaloo)(※7)など、ジャンルのポッピングを表現するための様々な「スタイル」があり、表現者はメインスタイルの「ポッピング」をベースに、表現者の個性として、他のスタイルも取り入れて表現することによって「自分の表現」を形成します。

「アニメーションスタイル」とはこれらのスタイルの一つのことです。

このスタイルは、前述の映画「ブレイクダンス」でポッピン・タコが披露したことによって世界中に広まりました。

この映画でポッピン・タコが表現していたアニメーションスタイルが、「滑らかさの中に細かくカクカクした独特な動きの表現」、すなわち「ストップモーションアニメーションスタイル」です。

※6:曲のビートに反応してポーズを形成した直後に身体の各部位を同時に弾いて表現するスタイルのこと。エレクトリックブガルーズのブガルー・サムが1976年に創り出した。

※7:腰・ひざ・頭などの身体のあらゆる部分のロールを自在に使いこなすことによって流動的に表現するスタイルのこと。エレクトリックブガルーズのブガルー・サムが1976年に創り出した。

ストップモーションアニメーションスタイル

ポッピン・タコの「ヴェニスビーチの登場」シーンでは、「投球ポーズをモチーフとした、小刻みに分割するモーションの表現」の部分でアニメーションスタイルのストップモーションアニメーションスタイルを表現しています。

決定的な「違い」

これを踏まえ、「アニメーションダンス」と「ポッピング」の2つの決定的な「違い」について解説します。

2つの決定的な「違い」、それはダンスの構成の中でダンスのジャンルの「ポッピング」を採用しているかしていないか、です。

ダンスのジャンルの「ポッピング」を採用している、とは、つまりダンスのジャンルの「ポッピング」を専門とするダンスを表現している、ということで、曲のビートに反応してポーズを形成した直後に身体の各部位を同時に弾いて表現する「ポッピング」をメインスタイルとして表現していること、です。

これに対し、ダンスの構成の中でダンスのジャンルの「ポッピング」を採用しないで、ダンスのジャンルの「アニメーション」を専門としているダンスが「アニメーションダンス」です。

種類とは無関係

つまりこのことは、リキッドアニメーションスタイルを表現しているから「アニメーションダンス」で、ストップモーションアニメーションスタイルを表現しているから「ポッピング」というように、表現する「アニメーション」のスタイルの種類がアニメーションダンスとポッピングの違いを決定づけているのではない、ということを意味しています。

たとえば、「アニメーションダンス」のダンスの構成の中でリキッドアニメーションスタイルではなくストップモーションアニメーションスタイルを表現していても、「アニメーション」をメインスタイルとして表現しているのであればそれはダンスのジャンルの「アニメーション」を専門とするダンス、すなわち「アニメーションダンス」となります。

また、「アニメーションダンス」のダンスの構成の中で複数のアニメーションスタイルを採用して表現していても、「アニメーション」をメインスタイルとして表現しているのであればそれはダンスのジャンルの「アニメーション」を専門とするダンス、すなわち「アニメーションダンス」となります。

一方、ダンスの構成の中でダンスのジャンルの「ポッピング」を採用し「ポッピング」をメインスタイルとして表現しているのであれば、表現するアニメーションのスタイルの種類に関係なくそのアニメーションはダンスのジャンルの「ポッピング」を専門とするダンス、すなわち「ポッピング」となります。

また、ダンスの構成の中でダンスのジャンルの「ポッピング」を採用し「ポッピング」をメインスタイルとして表現しているのであれば、複数のアニメーションスタイルを採用して表現していてもこれらのアニメーションはダンスのジャンルの「ポッピング」を専門とするダンス、すなわち「ポッピング」となります。

このように、ダンスの構成の中でダンスのジャンルの「ポッピング」を採用しているかしていないか、がアニメーションダンスとポッピングの違いを決定づけているのです。

ポッピングとは別

中には「アニメーションダンスもポッピングを採用しているじゃないか」と思った人もいると思います。

それはある意味そのとおりです。

しかしながらクリエイティブの観点からすると、アニメーションダンスで「ポッピングを採用している」とされるそのポッピングは、ポッピングの「身体を弾く」という「表現の要素」を取り入れてできた、ポッピングとは「別物」、すなわち「アニメーションダンス」と考えた方がよいでしょう。

要するに、ダンスの構成の中でダンスのジャンルの「ポッピング」を採用しないで「アニメーション」だけを専門として表現しているのが「アニメーションダンス」であり、「アニメーション」の表現に特化しているからこそダンスのジャンルの「アニメーション」として独立した存在として位置づけられているのです。

スタイルの表現内容は同じ

なお、ダンスのジャンルの「ポッピング」の配下にある「アニメーションスタイル」も、ダンスの構成の中で「アニメーション」を表現する時はポッピングの「身体を弾く」という「表現の要素」を取り入れてできた、ポッピングとは「別物」、すなわち「アニメーションスタイル」と考えた方がよいでしょう。

つまり「スタイル」として見た場合、ダンスのジャンルの「アニメーション」で採用しているスタイルの「アニメーション」も、ダンスのジャンルの「ポッピング」で採用している「アニメーションスタイル」も、両者共にポッピングの「身体を弾く」という「表現の要素」を取り入れてできた、ポッピングとは「別物」のスタイル、であり、表現する内容に違いはなく同じ、ということです。

「違い」のまとめ

以上を踏まえ、「アニメーションダンスとポッピングの違い」についてまとめると次のとおりです。

0. アニメーションダンスとポッピングの「違い」

ダンスの構成の中でダンスのジャンルの「ポッピング」を採用しているかしていないかによって決まる。

1. アニメーションダンス

ダンスのジャンルの「アニメーション」を専門とするダンスのこと。ダンスの構成の中でダンスのジャンルの「ポッピング」を採用しないで「アニメーション」の表現に特化して表現している。

2. ポッピング

ダンスのジャンルの「ポッピング」を専門とするダンスのこと。ダンスの構成の中でダンスのジャンルの「ポッピング」を採用して表現している。

※「アニメーションスタイル」とは、ダンスのジャンルの「ポッピング」の配下にあるスタイルの一つのこと。

3. 共通点

「スタイル」として見た場合、ダンスのジャンルの「アニメーション」で採用しているスタイルの「アニメーション」も、ダンスのジャンルの「ポッピング」で採用している「アニメーションスタイル」も、両者共にポッピングの「身体を弾く」という「表現の要素」を取り入れてできた、ポッピングとは「別物」のスタイルであり、表現する内容に違いはなく同じ。

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次回について

以上が「アニメーションダンスとポッピングの違い」についての解説でした。

「ポップダンス」とは、ダンスのジャンルの「ポッピング」を専門とするダンスのことです。

前述のとおり、このダンスはエレクトリックブガルーズが当時全米で最先端のストリートダンスを発信していた音楽番組「ソウルトレイン」へ1979年に出演したことによってウエストコーストから全米へ広がり、1984年公開の映画「ブレイクダンス」でポッピン・ピートとポッピン・タコのタッグによる存在感あるパフォーマンスによって世界中に広まりました。

今回の解説では、ダンスのジャンルの「ポッピング」、が重要なキーワードとなりましたが、次回はその中身を深掘りして見ていきます。

なぜならクリエイティブの観点からすると、「表現」であるポッピングには当然ながら表現の骨格となる「表現コンセプト」があり、それを表現するための「ルール」があるからです。

第4回|ポッピングとは

そこでシリーズ第4回目の次回は「ポッピング」にスポットを当て、ポッピングを習得する上で絶対おさえておきたい次の「3つの基本」について詳しく解説していきたいと思います。

1. ポッピングの基礎知識

2. ポッピングの習得で「重要なこと」

3. ポッピングのやり方

ポップダンス(ポッピング)とは|絶対おさえておきたい基本と練習
ポッピングを習得する上で絶対おさえておきたい「3つの基本」について解説します。

それではまた次のコンテンツでお会いしましょう。

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