ムーンウォークのやり方|バックスライド2歩目の簡単な方法とコツ
これまでの解説を振り返ると、バックスライド1歩目の方法(第1回)からつま先の使い方(第2回)、つま先の作り方(第3回)、そして床からの反発力(第4回)というように、回を追うごとに「より実践的なバックスライドのしくみと足の使い方」について解説してきました。
これらの解説への理解を深めた次におさえておきたいことは、「バックスライド2歩目に取り組むこと」です。
バックスライド2歩目の基本的な動作のしくみは1歩目と同じですが、バックスライド2歩目は1歩目のバックスライドをおえた状態から動作がはじまるため、1歩目とは異なる姿勢からバックスライドがはじまります。
そこで今回は「バックスライド2歩目」にスポットを当て、そのしくみと足の使い方について詳しく解説していきたいと思います。
バックスライド2歩目
それでは「バックスライド2歩目」について詳しく解説していきます。
バックスライド2歩目の動作
バックスライド2歩目に必要な動作は次の2つです。
1. 「つま先を立てた方の足」へ体重を移動する
2. 「つま先を立てていない方の足」をバックスライドする
1. 「つま先を立てた方の足」へ体重を移動する
1つ目の動作は、「つま先を立てた方の足」へ体重を移動する、です。
バックスライド2歩目は、1歩目で「つま先を立てていない方の足」(右足)がバックスライドをおえた状態から動作がはじまります(図の右)。
具体的には、右足が「つま先を立てていない方の足」から「つま先を立てた方の足」、左足が「つま先を立てた方の足」から「つま先を立てていない方の足」へ切り替わっている状態です。
この時体重は、「つま先を立てていない方の足」(左足)の足の裏全体と「つま先を立てた方の足」(右足)のつま先の2点にかかっています。
このように両足に体重がかかっている状態では、後方へスライドする足である「つま先を立てていない方の足」(左足)をスムーズにバックスライドできないため、ここで「あること」をする必要があります。
それは「つま先を立てた方の足」(右足)へ体重の半分以上を移動し、「つま先を立てていない方の足」(左足)に残っている体重の負荷を軽くして「後方へスライドしやすい状態」とすることです。
体重移動の際の姿勢について
この「つま先を立てていない方の足」(左足)から「つま先を立てた方の足」(右足)への体重移動の際、「つま先を立てた方の足」(右足)はつま先の指を立てた姿勢を維持しながらおこないます。
体重の半分以上が「つま先を立てた方の足」(右足)へ移ると、体重の負荷はつま先の指から足首、そして大腿部前後の筋肉にかかってきます。
特につま先の指の先端にはより多くの体重の負荷がかかってきますので、つま先の指を立てた姿勢を維持し、バランスを崩さないように身体を支えます。
2. 「つま先を立てていない方の足」をバックスライドする
2つ目の動作は、「つま先を立てていない方の足」をバックスライドする、です。
前述のとおり「つま先を立てた方の足」(右足)のつま先には、体重の半分以上の負荷がかかっています。
そのため「つま先を立てていない方の足」(左足)は体重の負荷が軽くなり「後方へスライドしやすい状態」となっています。
つま先を立てていない方の足
「つま先を立てていない方の足」(左足)のバックスライドは、「つま先を立てた方の足」(右足)への体重移動が完了して体重の負荷が軽くなった「後方へスライドしやすい状態」の時におこないます。
「つま先を立てていない方の足」(左足)はバックスライドの途中で「つま先を立てた方の足」(右足)を追い越したあたりから徐々にかかとが床から離れていき(図の中央)、やがてつま先のみが床と接して、そのつま先に体重の負荷がかかった状態で停止します(図の左)。
この時点で左足は「つま先を立てていない方の足」から「つま先を立てた方の足」へ切り替わっています。
つま先を立てた方の足
一方、つま先に体重の半分以上の負荷がかかっている「つま先を立てた方の足」(右足)は、「つま先を立てていない方の足」(左足)がバックスライドをおえてつま先立ちとなるタイミングと同じタイミングでかかとを床へ着地します(図の左)。
この時点で右足は「つま先を立てた方の足」から「つま先を立てていない方の足」へ切り替わっています。
バックスライド2歩目のまとめ
以上を踏まえ、「バックスライド2歩目の動作の流れ」をまとめます。
バックスライド2歩目の動作の流れ
「バックスライド2歩目の動作の流れ」をまとめると次の3ステップです。
ステップ1
バックスライド1歩目をおえた時点で、体重の負荷は「つま先を立てていない方の足」(左足)の足の裏全体と「つま先を立てた方の足」(右足)のつま先の2点にかかっています。
この状態から「つま先を立てた方の足」(右足)へ体重の半分以上を移動します。
ステップ2
「つま先を立てていない方の足」(左足)は、体重の半分以上を「つま先を立てた方の足」(右足)へ移動したことにより、体重の負荷が軽くなり「後方へスライドしやすい状態」となっています。
この状態から「つま先を立てていない方の足」(左足)をバックスライドします。
「つま先を立てていない方の足」(左足)は、バックスライドしていくことによって徐々にかかとが床から離れていき(図の中央)、やがてつま先のみが床と接して、そのつま先に体重の負荷がかかった状態となります(図の左)。
この2歩目のバックスライドをおえた時点で、左足は「つま先を立てていない方の足」から「つま先を立てた方の足」へ切り替わっています。
ステップ3
「つま先を立てた方の足」(右足)は、「つま先を立てていない方の足」(左足)がバックスライドをおえてつま先立ちとなるタイミングと同じタイミングでかかとを床へ着地します(図の左)。
この2歩目のバックスライドをおえた時点で、右足は「つま先を立てた方の足」から「つま先を立てていない方の足」へ切り替わっています。
参考動画:2歩目の動作の流れ
以上が「バックスライド2歩目」のしくみと足の使い方についての解説でした。
最後に、今回解説した「バックスライド2歩目」の動作の流れを次のスローモーション動画でおさらいしましょう。
次回について
バックスライドは1歩目と2歩目の足の使い方が理解できれば、3歩目以降は練習次第で足を後方へ交互にスライドしながら移動できるようになります。
ここまでの解説を通してバックスライド1歩目と2歩目のしくみと実践的な足の使い方についての理解を深めた次におさえておきたいことは、「バックスライドの歩幅について理解すること」です。
マイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)は1983年のモータウン25(※1)での初披露のあと、改良を重ねながら進化していったため、それにともない歩幅も変化していきました。
※1:マイケル・ジャクソンがジャクソン5時代に所属していたレコードレーベル「モータウン」の設立25周年を記念して開催された音楽の祭典。そのハイライトは1983年5月16日に全米でTV放送された。祭典の正式名称は「Motown25: Yesterday, Today, Forever」(モータウン25:昨日、今日、そして永遠に)。
第6回|歩幅
そこで次回は「バックスライドの歩幅」にスポットを当て、マイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)の歩幅の変遷から導き出した「最適なバックスライドの歩幅」について詳しく解説していきたいと思います。
それではまた次のコンテンツでお会いしましょう。
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