ロボットのムーンウォークとマイケルのムーンウォークの違いとは

ロボットのムーンウォークとマイケルのムーンウォークの違いとは

ここにムーンウォークの身体の使い方をプログラミングされた精巧な人間型ロボットがいたとします。

このロボットのムーンウォークがどのようなムーンウォークの軌跡を描くのかについて考えた時、あなたは何を想像するのでしょうか。

ロボットにしか出来ないムーンウォークとは

このロボットが繰り出すムーンウォークは、”一糸乱れぬこれ以上に無い完璧なムーンウォーク”なのだと思います。

そして、人間には決して実現不可能な、ロボットにしか出来ない一定の規則に従った”バックスライドの軌跡の美しさ”があり、これまでのムーンウォークとは別の”新たな表現”として打ち出せる可能性があるとも思います。

しかし、同時にどこか”違和感”を感じるのではないかとも思うのです。

それはなぜでしょうか。

それは“人間らしさ”が全く無いからです。

人間が”旧型ロボット”を演じるワケ

私達がロボットダンスを行う時、関節の可動範囲を制限して、1モーションにつき1部位の動作を基本原則とする機械的な動きを表現する事で”ロボット”の表現としています。

しかし現代のロボットは技術の進歩により私達が行うロボットダンスよりもはるかに滑らかで躍動的な動きをしています。

それでも私達はこの”旧型ロボット”を未だにロボットの表現の原則としているのです。

これはなぜなのでしょうか。

“ロボットダンスはこの旧型スタイルこそがオールドスクールのロボットダンスから続く「伝統的ロボットダンス」のスタイルだから”では、回答としては弱いように思います。

私の解釈では、“旧型ロボット”の表現は、人間らしさを極力排除した無機質さ、即ち人間がイメージする”ロボットらしさ”を表現するのに最も効果的だからです。

マイケル・ジャクソンのムーンウォーク

マイケル・ジャクソンは全てのパフォーマンスはもちろんムーンウォークにおいても完璧主義を貫いていましたが、人間らしさを排除した無機質な完璧さは求めていなかったと私は考えています。

例えば、ムーンウォークを行う歩幅、前傾姿勢、つま先の角度の使い方など、マイケル・ジャクソンのムーンウォークの動きには毎回決まった固定位置や法則として、ある種の“黄金比のような法則”がありますが、つま先の角度の使い方に関しては特筆すべき点があります。

それは、右足と左足でつま先を上げる角度が異なっている点です。

マイケル・ジャクソンがムーンウォークを行う際の右足は、バックスライドする直前につま先を立てる角度を半分まで上げ、反対側の足をバックスライドしている時に更に最高角度の90°近くまで上げます。

そして左足は、バックスライドする直前でつま先を立てる角度を最初から一番高いところまで上げ、バックスライドしている時もその角度を固定しています。

つまり、マイケル・ジャクソンがムーンウォークを行う際のつま先の角度の使い方には毎回決まった固定位置がありますが、左右別々の角度で上げる使い方をしているという事です。

もしマイケル・ジャクソンが人間らしさを排除した無機質な完璧さを求めていたのであれば、このバックスライド時のつま先の角度も左右均等な角度へと作り込んだ事と思います。

このようにムーンウォーク中のつま先の角度の使い方の中に、私はマイケル・ジャクソンのムーンウォークにおける”人間らしさ”の表現が読み取れると考えているのです。

人間らしさを排除した完璧さを目指す先にあるもの

このように、ムーンウォークの表現には”人間らしさ”が重要な要素となります。

ロボットに匹敵する一糸乱れぬ機械的な美しさを表現する事が実現不可能な人間が、ムーンウォークの技術を習得した先に人間らしさを排除した無機質な完璧さの表現を目指しても、表現としてはクオリティーの低い中途半端なもので終わってしまいます。

重要な事は、習得したムーンウォークの技術を人間が介在する事で表現出来うる最大限の効果としてどのように表現するのかという事であり、そこに重要な要素として”人間らしさ”があるという事です。

マイケル・ジャクソンはその事を見抜いていたのだと思います。

スポンサーリンク

おすすめコンテンツ

ムーンウォーク動画

マイケル・ジャクソンが披露した主要なムーンウォークを実演しています。他にも各種ムーンウォークの動画をYouTubeで公開しています。

 

バックスライド

マイケル・ジャクソンのムーンウォークから”要素”を学ぶ上でのポイントを全10回シリーズで解説しています。

第1回から第10回までの解説内容を理解し練習する事によって、一定水準以上のクオリティーの高いムーンウォークを表現出来るように構成しています。

ムーンウォーク講座|10のステップで上達するムーンウォークのやり方
マイケルのムーンウォークを従来のハウツーや完全コピーではなく「クリエイティブの観点」から解説します。

サイドウォーク

月面を滑走するように横ムーンウォークする一番オーソドックスな表現を行っていた、バッドツアーの初期のサイドウォークを取り上げて解説しています。

サイドウォークのやり方|マイケルに学ぶ横へ移動するムーンウォーク
マイケルのサイドムーンウォークの基本となるサイドウォークのやり方とアニメーションについて解説します。

その場ムーンウォーク

マイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」の仕組みと足捌きの方法について解説しています。

マイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」の仕組みとやり方
マイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」の仕組みと足捌きのやり方について解説します。

回転ムーンウォーク

マイケル・ジャクソンが披露した主要な回転ムーンウォークを全て解説しています。

マイケル・ジャクソンの回転ムーンウォークのやり方|主要5種を解説
マイケル・ジャクソンの回転ムーンウォークでおさえておくべき主要5種の回転ムーンウォークを解説します。

マイケル・ジャクソンを乗り越える

マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越えるための考察を全5回にわたって解説しています。

マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越える方法
マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越えるための考察と方法を全5回シリーズで解説します。

それでは、またの機会にお会いしましょう。

KAIZOU NINGEN

ダンス研究家。専門はムーンウォークとアニメーションダンス。幼少期にマイケル・ジャクソンのメカニカルな動きを取り入れたダンスに影響を受け、1990年よりダンスの研究を始める。マイケル・ジャクソン没後10年特集番組へ情報提供(TBS「一番だけが知っている」:2019年)。

フォロー
ムーンウォーク ダンス
スポンサーリンク
KAIZOU NINGEN
タイトルとURLをコピーしました