回転ムーンウォークのやり方|2つの折り返し点をターンで回転する

回転ムーンウォークを習得する上でおさえておきたい主要6種類の基本を全7回にわたり解説していくシリーズの第2回目です。
回転ムーンウォークのやり方|おさえておきたい主要6種類の表現
回転ムーンウォークを習得する上でおさえておきたい主要6種類の基本を全7回シリーズで解説します。
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回転ムーンウォークのやり方|2つの折り返し点をターンで回転する

回転ムーンウォークを習得する上でおさえておきたい主要6種類の基本を全7回にわたり解説していきます。

シリーズ2回目の今回は、ジャクソンズヴィクトリーツアー後期バージョンにスポットを当て、月の上を歩いているかのように2つの折り返し点をターンで回転する「2点間ターン型回転ムーンウォーク」をベースとする足の使い方の基本について解説していきたいと思います。

回転ムーンウォークとは

まずはじめに前回の解説を振り返ります。

回転ムーンウォークのはじまり

回転ムーンウォークは、もともとは「ムーンウォーク」(The Moonwalk)という名称として、エレクトリックブガルーズ(Electric Boogaloos)(※1)のブガルー・サム(Boogaloo Sam)が1970年代後期に考案したスタイルで、ひざをやわらかく使いながら円を描くように体重移動していく表現を利用して、月の上を歩いているかのようにゆっくりと歩いてみせることによって表現します。

かかとからつま先にかけて後方へ交互にスライドしながら移動していく「バックスライド」をマイケル・ジャクソンが「ムーンウォーク」と命名し1983年のモータウン25(※2)で披露したことによって、一般にはバックスライドの表現が「ムーンウォーク」として広く知られるようになりましたが、歴史的観点からするとブガルー・サムの、ひざをやわらかく使いながら円を描くように体重移動していく表現を利用して、月の上を歩いているかのようにゆっくりと歩いてみせる表現が本来の「ムーンウォーク」(The Moonwalk)です。

この「ムーンウォーク」(The Moonwalk)の表現はマイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)とは明らかに異なる表現コンセプトで創られたスタイルであるため、現在はそれとは区別して「オリジナルムーンウォーク」(Original Moonwalk)と呼ばれています。

※1:ブガルー・サムによって1977年に結成された伝説的ダンスクルー。曲のビートに反応してポーズを形成した直後に身体の各部位を同時に弾いて表現する「ポッピンスタイル」と、腰・ひざ・頭などの身体のあらゆる部分のロールを自在に使いこなすことによって流動的に表現する「ブガルースタイル」を世に送り出した。

※2:マイケル・ジャクソンがジャクソン5時代に所属していたレコードレーベル「モータウン」の設立25周年を記念して開催された音楽の祭典。そのハイライトは1983年5月16日に全米でTV放送された。祭典の正式名称は「Motown25: Yesterday, Today, Forever」(モータウン25:昨日、今日、そして永遠に)。この祭典がマイケルにとってムーンウォーク(バックスライド)初披露の場となった。

ヴィクトリーツアー

マイケル・ジャクソンが表現する回転ムーンウォークにはおもに2つの系統があり、1つは、ジェフリー・ダニエル(Jeffrey Daniel)(※3)の影響を受けた、円を描くように体重移動することによって表現する「オリジナルムーンウォーク系回転ムーンウォーク」と、もう1つは、ブガルー・シュリンプ(Boogaloo Shrimp)(※4)の影響を受けた、円を描くように足をスライドすることによって表現する「サークルフロート系回転ムーンウォーク」です。

1984年のジャクソンズヴィクトリーツアーのBillie Jeanではじめて登場したマイケル・ジャクソンの回転ムーンウォークは、ブガルー・シュリンプの影響を受けたサークルフロート系回転ムーンウォークがベースとなっています。

※3:マイケル・ジャクソンがムーンウォーク(バックスライド)を自分の表現として確立していく過程において影響を受けた2人のレジェンドのうちの一人。1980年にマイケルへバックスライドを教えたことをきっかけに、のちに1987年公開のショートフィルム「Bad」や1988年公開の映画「ムーンウォーカー」のSmooth Criminalのコレオグラファー兼ダンサーとしてマイケルの仕事にたずさわり、Badでは地下鉄構内のシーン、Smooth Criminalでは、身体を前傾する通称「ゼログラビティ」から回転ムーンウォークへ展開するシーンでマイケルの脇を固める4人のダンサーの一人として出演した。回転ムーンウォークに関しては、1979年にキャスパー・キャ二デイト(Geron “Caszper” Canidate)(※5)とクーリー・ジャクソン(Derek “Cooley” Jaxson)(※6)と共に「Jeffrey Daniel & The Eclipse」として、当時全米で最先端のストリートダンスを発信していた音楽番組「ソウルトレイン」へ出演した際に、ブガルー・サムのオリジナルムーンウォークに影響を受けた、円を描くように体重移動することによって表現する回転ムーンウォークを披露。この円を描くように体重移動することによって表現する回転ムーンウォークが、のちに映画「ムーンウォーカー」のSmooth Criminalでマイケルが採用することとなるオリジナルムーンウォーク系回転ムーンウォークの原型となった。

※4:マイケル・ジャクソンがムーンウォーク(バックスライド)を自分の表現として確立していく過程において影響を受けた2人のレジェンドのうちのもう一人のレジェンド。1983年から1991年までマイケルのソロパートのアドバイザー(パーソナルポッピングインストラクター)として、1984年のジャクソンズヴィクトリーツアー以降のBillie Jean終盤の間奏部分のダンスパートをはじめ、ムーンウォーク(バックスライド)を含む一連のパフォーマンスを完成度の高いレベルまで引き上げる仕事にたずさわった。回転ムーンウォークに関しては、1984年公開の映画「ブレイクダンス」(Breakin’)で、つま先からかかとにかけて円を描くように足をスライドしていく表現を利用して、床から浮いているかのように回転しながら自在に移動していくサークルフロート(回転ムーンウォーク)を披露。この円を描くように足をスライドすることによって表現するサークルフロートが、のちに1984年のジャクソンズヴィクトリーツアーから1987年のバッドツアー初期までマイケルが採用することとなるサークルフロート系回転ムーンウォークの原型となった。

※5:当時全米で最先端のストリートダンスを発信していた音楽番組「ソウルトレイン」にエレクトリックブガルーズのダンススタイルの一つである「バックスライド」を早い時期に持ち込み披露したダンサーの一人。1979年にクーリー・ジャクソンと共にマイケル・ジャクソンへバックスライドを教えたことをきっかけに、1987年公開のショートフィルム「Bad」では地下鉄構内のシーン、1988年公開の映画「ムーンウォーカー」ではSmooth Criminalの、身体を前傾する通称「ゼログラビティ」から回転ムーンウォークへ展開するシーンでマイケルの脇を固める4人のダンサーの一人として出演した。

※6:当時全米で最先端のストリートダンスを発信していた音楽番組「ソウルトレイン」にエレクトリックブガルーズのダンススタイルの一つである「バックスライド」を早い時期に持ち込み披露したダンサーの一人。1979年にキャスパー・キャニデイトと共にマイケル・ジャクソンへバックスライドを教えたことをきっかけに、1988年公開の映画「ムーンウォーカー」のSmooth Criminalでは、身体を前傾する通称「ゼログラビティ」から回転ムーンウォークへ展開するシーンでマイケルの脇を固める4人のダンサーの一人として出演した。

2つの回転ムーンウォーク

このジャクソンズヴィクトリーツアーでマイケル・ジャクソンは、いくつかのサークルフロート系回転ムーンウォークを開発し披露していました。

このうち本解説で取り上げる回転ムーンウォークは、マイケル・ジャクソンがBillie Jean終盤の間奏部分における、ムーンウォーク(バックスライド)とならぶ「重要な見せ場の武器」の一つとして前面に打ち出すようになった次の2つです。

1. ヴィクトリーツアー中期バージョン

円の中心に対して自転しながら公転する「自転公転型回転ムーンウォーク」。

2. ヴィクトリーツアー後期バージョン

2つの折り返し点をターンで回転する「2点間ターン型回転ムーンウォーク」。

1. ヴィクトリーツアー中期バージョン

1つ目は、ジャクソンズヴィクトリーツアー中期の公演都市トロント(カナダ)で披露した、月の上を歩いているかのように円の中心に対して自転しながら公転する「自転公転型回転ムーンウォーク」です。

この回転ムーンウォークは、「円の中心に対して反時計回りに自転しながら周回軌道を時計回りに公転するように一回りする表現」に特徴があります。

※詳しくは第1回目の「回転ムーンウォークのやり方|円の中心に対して自転しながら公転する」を参照。

回転ムーンウォークのやり方|円の中心に対して自転しながら公転する
「自転公転型回転ムーンウォーク」の足の使い方の基本について解説します。
2. ヴィクトリーツアー後期バージョン

2つ目は、ジャクソンズヴィクトリーツアー最後の公演都市ロサンゼルスで披露した、月の上を歩いているかのように2つの折り返し点をターンで回転する「2点間ターン型回転ムーンウォーク」です。

この回転ムーンウォークは、中期バージョンの「自転公転型回転ムーンウォーク」の足の使い方を引き継ぎながらも、中期バージョンのように円の中心に対して反時計回りに自転しながら周回軌道を時計回りに公転するのではなく、「左右2つの折り返し点をターンで回転しながら反時計回りに一回りする表現」に特徴があります。

やり方を理解する

以上を踏まえ、今回はジャクソンズヴィクトリーツアー後期バージョンにスポットを当て、月の上を歩いているかのように2つの折り返し点をターンで回転する「2点間ターン型回転ムーンウォーク」をベースとする足の使い方の基本について詳しく解説していきたいと思います。

「2点間ターン型」の基本

ここからはジャクソンズヴィクトリーツアー後期バージョンの、月の上を歩いているかのように2つの折り返し点をターンで回転する「2点間ターン型回転ムーンウォーク」をベースとする足の使い方の基本について解説していきます。

今回の解説では、私の表現する次の回転ムーンウォークの動画を参考動画としています。

解説:この動画の表現について

1984年のジャクソンズヴィクトリーツアー後期の公演都市ロサンゼルスのBillie Jeanでマイケル・ジャクソンが披露した、月の上を歩いているかのように2つの折り返し点をターンで回転する回転ムーンウォークの表現は、それを構成するおもな「表現の要素」に、1983年から1991年までマイケルのソロパートのアドバイザー(パーソナルポッピングインストラクター)として、1984年のジャクソンズヴィクトリーツアー以降のBillie Jean終盤の間奏部分のダンスパートをはじめ、ムーンウォーク(バックスライド)を含む一連のパフォーマンスを完成度の高いレベルまで引き上げる仕事にたずさわったブガルー・シュリンプの、円を描くように足をスライドすることによって表現するサークルフロート(回転ムーンウォーク)の表現の要素が読み取れることから、マイケルはこのサークルフロートから「足をスライドする表現」と「円を描く表現」の各種要素を抽出し、オリジナル表現の「2つの折り返し点をターンで回転する表現」と組み合わせて再構築することによって、マイケルの解釈によるマイケルバージョンのサークルフロート系回転ムーンウォーク、すなわち、月の上を歩いているかのように2つの折り返し点をターンで回転する「2点間ターン型回転ムーンウォーク」を表現していることがわかります。

これを踏まえ、この動画で私が表現している回転ムーンウォークは、1984年のジャクソンズヴィクトリーツアー後期のBillie Jeanでマイケル・ジャクソンが披露した「2つの折り返し点をターンで回転する回転ムーンウォーク」の「2つの折り返し点をターンで回転する表現」をベースに、1984年公開の映画「ブレイクダンス」でブガルー・シュリンプが披露した、円を描くように足をスライドすることによって表現するサークルフロートの「足をスライドする表現」、「円を描く表現」がおもな構成要素であり、これらの表現から「表現の要素」を抽出し再構築することによって、私の解釈による私バージョンのサークルフロート系回転ムーンウォーク、すなわち、月の上を歩いているかのように2つの折り返し点をターンで回転する「2点間ターン型回転ムーンウォーク」を表現しています。

「2点間ターン型」前半の動作

それでは「2点間ターン型回転ムーンウォーク」前半の動作の解説に入ります。

回転ムーンウォークのやり方①

ここではスタートポジションから左足のつま先を6時方向に向けて立てる動作について解説します。

スタートポジション

9時方向を正面とし、両足を肩幅程度に開いて立ちます。

つま先は外側へ軽く開いておきます。

この位置がスタートポジションです(左0・右0)。

左足

左足のつま先をこれから回転する反時計回りの方向へ向けます。

この時つま先の先端は6時方向に立てた状態とします(1)。

体重

左足のつま先の先端と右足の足の裏全体にかかっています。

回転ムーンウォークのやり方②

ここではつま先を立てた左足を床に下ろすと同時に、右足をすり足で移動して左足を追い越しつま先を立てる動作について解説します。

左足

つま先を立てていた状態からかかとを下ろして床に着地します(2)。

右足

左足のかかとを床に着地する動作と同時に、右足のつま先をこれから回転する反時計回りの方向へ向け、すり足で左足を追い越すところまで移動します。

この時移動していく途中からかかとを浮かせていき、移動後につま先を立てた状態とします(1)。

体重

右足のつま先の先端と左足の足の裏全体にかかっています。

回転ムーンウォークのやり方③

ここでは1つ目の折り返し点をターンで回転する動作について解説します。

右足

右足のつま先の先端に半分以上の体重を移し、つま先を支点として反時計回りに回転します(2)。

回転後はかかとが床に着地した状態とします(3)。

回転後の身体の向きは3時方向を向いています。

左足

右足の回転と連動し、つま先を支点として3’を経由しながら3の方向へ移動します。

回転後、左足のつま先を12時方向へ向けて立てた状態とします(3)。

体重

左足のつま先の先端と右足の足の裏全体にかかっています。

前半の動作の流れ

ここまでが「2点間ターン型回転ムーンウォーク」前半の動作です。

前半の動作の流れをスローモーションで示したものが次の動画となります。

「2点間ターン型」後半の動作

ここからは「2点間ターン型回転ムーンウォーク」後半の動作の解説に入ります。

回転ムーンウォークのやり方④

ここではつま先を立てた左足を床に下ろすと同時に、右足をすり足で移動して左足を追い越しつま先を立てる動作について解説します。

左足

つま先を立てていた状態からかかとを下ろして床に着地します(4)。

右足

左足のかかとを床に着地する動作と同時に、右足のつま先をこれから回転する反時計回りの方向へ向け、すり足で左足を追い越すところまで移動します。

この時移動していく途中からかかとを浮かせていき、移動後につま先を立てた状態とします(4)。

体重

右足のつま先の先端と左足の足の裏全体にかかっています。

回転ムーンウォークのやり方⑤

ここでは2つ目の折り返し点をターンで回転する動作について解説します。

右足

右足のつま先の先端に半分以上の体重を移し、つま先を支点として反時計回りに回転します(5)。

回転後はかかとが床に着地した状態とします(6)。

回転後の身体の向きは9時方向を向いています。

左足

右足の回転と連動し、つま先を支点として5’を経由しながら5の方向へ移動します。

回転後、左足のつま先の先端を6時方向に立てた状態とします(5)。

体重

左足のつま先の先端と右足の足の裏全体にかかっています。

後半の動作の流れ

ここまでが「2点間ターン型回転ムーンウォーク」後半の動作です。

後半の動作の流れをスローモーションで示したものが次の動画となります。

動作のまとめ

以上がジャクソンズヴィクトリーツアー後期バージョンの、月の上を歩いているかのように2つの折り返し点をターンで回転する「2点間ターン型回転ムーンウォーク」をベースとする足の使い方の基本についての解説でした。

2周目以降をおこなう場合は、「回転ムーンウォークのやり方②」の動作からおこないます。

最後に、今回解説した「2点間ターン型回転ムーンウォーク」の動作の流れを次のスローモーション動画でおさらいしましょう。

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次回について

ジャクソンズヴィクトリーツアー後期バージョンの、月の上を歩いているかのように2つの折り返し点をターンで回転する「2点間ターン型回転ムーンウォーク」の足の使い方の基本について理解した次におさえておきたい回転ムーンウォークは、バッドツアー初期バージョンの、月の上を歩いているかのように2つの折り返し点をスライドで回転する「2点間スライド型回転ムーンウォーク」です。

第3回|2点間スライド型

この回転ムーンウォークは、ジャクソンズヴィクトリーツアー後期バージョンの「2点間ターン型回転ムーンウォーク」の足の使い方を引き継ぎながらも、後期バージョンのように左右2つの折り返し点をターンで回転しながら反時計回りに一回りするのではなく、「左右2つの折り返し点をスライドで回転しながら時計回りに一回りする表現」に特徴があります。

回転ムーンウォークのやり方|2つの折り返し点をスライドで回転する
「2点間スライド型回転ムーンウォーク」の足の使い方の基本について解説します。

それではまた次のコンテンツでお会いしましょう。

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KAIZOU NINGEN

ダンス研究家。専門はムーンウォークとアニメーションダンス。幼少期にマイケル・ジャクソンのメカニカルな動きを取り入れたダンスに影響を受け、1990年よりダンスの研究を始める。マイケル・ジャクソン没後10年特集番組へ情報提供(TBS「一番だけが知っている」:2019年)。

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