なぜマイケルはライヴ・イン・ブカレストを公式コンサートとしたのか

なぜマイケルはライヴ・イン・ブカレストを公式コンサートとしたのか

「ブカレスト」という名前を聞くと、1992年に開催されたマイケル・ジャクソンのデンジャラスツアーの公式コンサートのタイトルを思い浮かべる人も多いのではないかと思います。

しかしながら、数あるデンジャラスツアーの開催地の中からなぜマイケル・ジャクソンがルーマニアの首都ブカレストを選定し、公式コンサートの「Live in Bucharest : The Dangerous Tour」として認定したのか、今となってはそれを知る人は少ないと思います。

マイケル・ジャクソン没後10年の特集でTBS「一番だけが知っている」(※1)へ情報提供するにあたり私が最も重視していた事は「歴史」です。

例えばマイケル・ジャクソンのムーンウォーク初披露のブロックにおいては、「1983年にモータウン25でマイケルが初めてムーンウォークを披露した時の映像はこれです。」というようなありきたりな描き方ではなく、マイケルがムーンウォークを披露するに至るまでの背景のエピソードを盛り込んだ事によって、マイケルのムーンウォーク初披露の歴史的価値の意味が分かるように描かれました。

そしてデンジャラスツアーのブロックにおいても私が念頭に置いていた事は、ブカレスト開催に至るまでのルーマニアの歴史的背景とマイケルが一貫してメッセージしてきた「世界平和」や「貧困層救済」などの理念との関連性についてです。

※1:”その道のNo.1″から、「1番だけが知っている」というとっておきの物語や驚愕の人物を聞き出し、その類いまれなエピソードを紹介する番組。マイケル・ジャクソン没後10年の特集では「芸能界で1番マイケル・ジャクソンに詳しい東山紀之が魂震えた、マイケルのパフォーマンスベスト3!」と題して放送。放送日:2019年6月24日。

マイケルがブカレストを公式コンサートとして認定した背景

マイケル・ジャクソンがそもそも1992年にデンジャラスツアーを開催するに至った背景とは何だったのでしょうか。

それはワールドツアーで得た収益によって「Heal The World Foundation」を設立する事でした。

「Heal The World Foundation」のミッションは、そのテーマソングであるHeal The World(※2)の歌詞にあるように”世界を癒やしてもっと素晴らしい場所とする事”であり、その第一歩として掲げていた事は”未来を担う子供達を救う事”でした。

当時のルーマニアは、およそ25年間続いた独裁政権から1989年に起こったルーマニア革命によって独裁政権が崩壊し、3年が経過した1992年においても多くの恵まれない子供達の貧困が問題となっていました。

この事を重く受け止めたマイケル・ジャクソンは、ブカレストの地で「Heal The World Foundation」を正式に立ち上げると宣言します。

つまりマイケル・ジャクソンはこの国で多くの恵まれない子供達が貧困で苦しんでいるという事を世界中に伝えようとするためにライヴ・イン・ブカレストを世界配信用の公式コンサートとして認定したのです。

※2:1991年にリリースされたアルバム「Dangerous」の7曲目に収められている楽曲

伝説の「2分2秒のフリーズ」

一方、ルーマニア国内では、激動の国内情勢の中で疲弊していながらも独裁政権時代では決して見る事の出来なかった本物のスーパースターが初めてアメリカからやってくるという事でチケットは完売、会場となった国立競技場にはおよそ90,000人の観客が集まり、マイケル・ジャクソンの登場を今か今かと待ち望んでいました。

そして満を持して、まるでびっくり箱から飛び出して来たかのように迫力の特殊火薬効果と共にステージ上へ登場したマイケル・ジャクソンは、その後微動だにしない「2分2秒のフリーズ」によって90,000人の観客の心を一気につかむ事に成功するのでした。

斬新な切り口で描かれた「2分2秒のフリーズ」

今回のマイケル・ジャクソン特集で特筆すべきは、TBS「一番だけが知っている」がこれまでにない斬新な切り口から「2分2秒のフリーズ」を描いている点です。

それは、従来のような「デンジャラスツアーのオープニングでマイケル・ジャクソンが動かないパフォーマンスによって観客を圧倒させた」という表面的な描き方ではなく、当時のルーマニア国内の情勢を踏まえ、ルーマニアの人々がマイケルをどういう思いで受け入れたのかを歴史的背景を交え「2分2秒のフリーズ」と関連づけて描いた点にあります。

この事により、ルーマニアの人々がこれまで抱いてきた鬱積(うっせき)した感情、スーパースター「マイケル・ジャクソン」への並々ならぬ思い、そしてライヴパフォーマンス中に多くの失神者が続出した事を踏まえ、これらをマイケル・ジャクソンの「2分2秒のフリーズ」が象徴する意味と関連付けて”新しい解釈”として提示しました。

10年後に訪れるマイケルを知らない世代が20代を迎える未来

あと10年もすると、マイケル・ジャクソンを知らないで育った世代が20代を迎えます。

その時にマイケル・ジャクソンは彼らにとってどのように理解されているのかは、私達リアルタイム世代がこの10年でどれだけマイケルの事を次世代へ語り継いだのかによって未来は変わってくると思います。

そういう意味で、マイケル・ジャクソン没後10年の節目にTBS「一番だけが知っている」がマイケルのパフォーマンスの凄さを歴史的価値の観点から取り上げると共に、歴史に埋もれそうになっていたエピソードの紹介や、数々の疑惑に対する見解などバランスの取れた内容で特集を組んだ事は非常に意味がありました。

そして当番組が描いたマイケル・ジャクソンの「2分2秒のフリーズ」は、間違いなく次世代に伝えたいエピソードであると言えます。

スポンサーリンク

おすすめコンテンツ

ムーンウォーク動画

マイケル・ジャクソンが披露した主要なムーンウォークを実演しています。他にも各種ムーンウォークの動画をYouTubeで公開しています。

 

バックスライド

マイケル・ジャクソンのムーンウォークから”要素”を学ぶ上でのポイントを全10回シリーズで解説しています。

第1回から第10回までの解説内容を理解し練習する事によって、一定水準以上のクオリティーの高いムーンウォークを表現出来るように構成しています。

ムーンウォーク講座|10のステップで上達するバックスライドのやり方
ムーンウォーク(バックスライド)のしくみから表現のポイントまでを全10回シリーズで解説します。

サイドウォーク

月面を滑走するように横ムーンウォークする一番オーソドックスな表現を行っていた、バッドツアーの初期のサイドウォークを取り上げて解説しています。

サイドウォークのやり方|横へ移動するムーンウォークの表現
サイドウォークの基本とアニメーションスタイルを取り入れたサイドウォークへの応用について解説します。

その場ムーンウォーク

マイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」の仕組みと足捌きの方法について解説しています。

その場ムーンウォークのやり方|その場にとどまり歩いてみせる表現
「その場ムーンウォーク」の基本と「その場ムーンウォーク」の表現の応用について解説します。

回転ムーンウォーク

マイケル・ジャクソンが披露した主要な回転ムーンウォークを全て解説しています。

マイケル・ジャクソンの回転ムーンウォークのやり方|主要5種を解説
マイケル・ジャクソンの回転ムーンウォークでおさえておくべき主要5種の回転ムーンウォークを解説します。

マイケル・ジャクソンを乗り越える

マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越えるための考察を全5回にわたって解説しています。

マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越える方法
マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越えるための考察と方法を全5回シリーズで解説します。

それでは、またの機会にお会いしましょう。

KAIZOU NINGEN

ダンス研究家。専門はムーンウォークとアニメーションダンス。幼少期にマイケル・ジャクソンのメカニカルな動きを取り入れたダンスに影響を受け、1990年よりダンスの研究を始める。マイケル・ジャクソン没後10年特集番組へ情報提供(TBS「一番だけが知っている」:2019年)。

フォロー
ムーンウォーク ダンス
スポンサーリンク
KAIZOU NINGEN
タイトルとURLをコピーしました