その場ムーンウォークのやり方|その場にとどまり歩いてみせる表現

「その場ムーンウォーク」の基本と表現の応用について解説していきます。
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その場ムーンウォークのやり方|その場にとどまり歩いてみせる表現

今回は「その場ムーンウォーク」にスポットを当て、「その場ムーンウォーク」の基本と表現の応用について解説していきたいと思います。

「その場ムーンウォーク」とは

まずはじめに「その場ムーンウォーク」のおもな系譜を振り返り、それがどのようにしてマイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」へとつながっていったのかについて解説します。

おもな系譜

「その場ムーンウォーク」の表現は、パントマイムの「プロファイルウォーク」のその場にとどまりながら歩いてみせる表現と、「プレッシャーウォーク」の強風にさからいながら前と後ろへ歩いてみせる表現が大元の原型となっており、1970年代後半からストリートダンスへ取り入れられたスタイルです。

事の発端は、エレクトリックブガルーズ(Electric Boogaloos)(※1)のクリーピン・シッド(Creepin Sid)(※2)が、1979年に当時全米で最先端のストリートダンスを発信していた音楽番組「ソウルトレイン」へ出演した際に、かかとからつま先にかけて後方へ交互にスライドしながら移動していくバックスライドの逆バージョンとして、つま先からかかとにかけて前方へ交互にスライドしながら移動していく「フロントスライド」を披露した事がはじまりでした。

このクリーピン・シッドのパフォーマンスの影響を受けたジェフリー・ダニエル(Jeffrey Daniel)(※3)は、翌年の1980年に出演したソウルトレインのパフォーマンスでフロントスライドを披露しています。

その後1983年公開の映画「フラッシュダンス」(Flashdance)で、ロック・ステディー・クルー(Rock Steady Crew)のミスター・フリーズ(Mr. Freeze)が、強風にさからいながら歩いてみせる様子を表現したパントマイムのオマージュとして、片手に傘を持ちながら強風によって前に進みたいのになかなか前へ進めない中を一歩一歩前へ歩いてみせる表現をおこなったあと、前方からくる強風にあおられて後方へ飛ばされる傘と一緒にバックスライドしていく表現を披露しています。

そして1984年公開の映画「ブレイクダンス」(Breakin’)では、ブガルー・シュリンプ(Boogaloo Shrimp)(※4)が、床から浮いているかのようにその場にとどまりながらゆっくりと歩いてみせる「その場ムーンウォーク」を披露しています。

以上が「その場ムーンウォーク」のおもな系譜であり、マイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」は、これらの系譜を経て1984年のジャクソンズヴィクトリーツアーのHuman Natureではじめて登場しました。

※1:ブガルー・サム(Boogaloo Sam)によって1977年に結成された伝説的ダンスクルー。曲のビートに反応してポーズを形成した直後に身体の各部位を同時に弾いて表現する「ポッピンスタイル」と、腰・ひざ・頭などの身体のあらゆる部分のロールを自在に使いこなす事によって流動的に表現する「ブガルースタイル」を世に送り出した。

※2:ストリートダンスの歴史において1978年に全米のTV放送ではじめてバックスライドを披露したレジェンド。代表的な表現には、前述のかかとからつま先にかけて後方へ交互にスライドしながら移動していくバックスライドや、バックスライドの逆バージョンとして、つま先からかかとにかけて前方へ交互にスライドしながら移動していくフロントスライド、左右の足を横方向へ交互にスライドしながら移動していくサイドスライドがある。なお、1979年の個人練習の様子を収めた動画では、その場にとどまりながらバックスライドしているようにみせる表現を確認する事ができる。

※3:マイケル・ジャクソンがムーンウォーク(バックスライド)を自分の表現として確立していくにあたり影響を受けた2人のレジェンドのうちの一人。1980年にマイケルへバックスライドを教えた事をきっかけに、のちにBadやSmooth Criminalのコレオグラファー兼ダンサーとしてマイケルの仕事にたずさわり、Badのショートフィルムでは地下鉄構内でのシーン、1988年公開の映画「ムーンウォーカー」のSmooth Criminalでは、身体を前傾する通称「ゼログラビティ」のシーンでマイケルの脇を固めるダンサーの一人として出演した。

※4:マイケル・ジャクソンがムーンウォーク(バックスライド)を自分の表現として確立していくにあたり影響を受けた2人のレジェンドのうちのもう一人のレジェンド。1983年から1991年までマイケルのソロパートのアドバイザー(パーソナルポッピングインストラクター)として、1984年のジャクソンズヴィクトリーツアー以降のBillie Jean終盤の間奏部分のダンスパートをはじめ、ムーンウォーク(バックスライド)を含む一連のパフォーマンスを完成度の高いレベルまで引き上げる仕事にたずさわった。

マイケルの「その場ムーンウォーク」の表現

マイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」の表現は、マルセル・マルソー(Marcel Marceau)(※5)のパントマイムの、その場にとどまりながら歩いてみせる「プロファイルウォーク」の表現と、強風にさからいながら前と後ろへ歩いてみせる「プレッシャーウォーク」の表現がベースとなっており、それぞれの表現にムーンウォーク(バックスライド)の「表現の要素」を組み合わせる事によって表現しています。

※5:20世紀を代表するフランスのパントマイムアーティスト。マイケル・ジャクソンがパントマイムを自分の表現として確立していくにあたり影響を受けたレジェンド。

5つのタイプ

マイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」を表現別に分類すると、おもに次の5つのタイプになります。

1. その場にとどまりながらムーンウォークしているようにみせる「その場ムーンウォーク」

2. 月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」

3. その場にとどまりたいのに後退していく「その場ムーンウォーク」

4. 強風にさからうようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」

5. アニメーションダンスの要素を取り入れた「その場ムーンウォーク」

1. その場にとどまりながらムーンウォークしているようにみせる「その場ムーンウォーク」

1つ目のタイプは、その場にとどまりながらムーンウォーク(バックスライド)しているようにみせる「その場ムーンウォーク」です。

この「その場ムーンウォーク」は、マイケル・ジャクソンが1984年のジャクソンズヴィクトリーツアーのHuman NatureやShake Your Bodyで披露した「その場ムーンウォーク」です。

この表現はパントマイムの、その場にとどまりながら歩いてみせる「プロファイルウォーク」の表現をベースに、前に進んでいるようで後ろへ進んでいくバックスライド(ムーンウォーク)の「表現の要素」を組み合わせる事によって表現しています。

おもな足の使い方は、その場にとどまりながらバックスライドするように、はじめに左足のつま先を立て、左足を床に下ろすと同時に右足をかかとからつま先にかけて後方へスライドします。

次に右足を前方へ戻してつま先を立て、右足を床に下ろすと同時に左足をかかとからつま先にかけて後方へスライドします。

そして左足を前方へ戻してつま先を立てる、という動作を繰り返す事によって表現します。

2. 月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」

2つ目のタイプは、月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」です。

この「その場ムーンウォーク」は、マイケル・ジャクソンが1987年のバッドツアーをはじめとするすべてのワールドツアーのBillie Jeanで披露した「その場ムーンウォーク」です。

おもな足の使い方は、はじめに左足のつま先を立て、左足を床に下ろすと同時に右足を時計回りに開きながら後方へスライドします。

次に右足を前方へスライドしながらつま先を立て、右足を床に下ろすと同時に左足をかかとからつま先にかけて後方へスライドします。

そして左足を前方へ軽く蹴り出し、左足のかかとが右足のつま先を超えたあたりで後方へ戻してつま先を立てる、という動作を繰り返す事によって表現します。

1984年のジャクソンズヴィクトリーツアーのBillie Jeanでは、タイプ1のその場にとどまりながらムーンウォーク(バックスライド)しているようにみせる「その場ムーンウォーク」の動作を速くした表現を採用していましたが、1987年のバッドツアー以降のBillie Jeanでは左足へタップダンスの「表現の要素」を取り入れ、左足を後方から前方へ戻す際に、つま先を内側から外側へ蹴り出すようにステップする表現とし、また右足では「フロントスライド」の「表現の要素」を取り入れ、右足を後方から前方へ戻す際に「つま先からかかとにかけて前方へスライドしながらつま先を立てる表現」とする事によって、「月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる表現」へと改良しました。

このBillie Jeanの「その場ムーンウォーク」が、マイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」の中でもっとも代表的な表現として定着している「その場ムーンウォーク」です。

3. その場にとどまりたいのに後退していく「その場ムーンウォーク」

3つ目のタイプは、その場にとどまりたいのに後退していく「その場ムーンウォーク」です。

この「その場ムーンウォーク」は、マイケル・ジャクソンが1987年のバッドツアーのHuman NatureやShake Your Bodyで披露した「その場ムーンウォーク」です。

この表現の構成には「Human Natureバージョン」と「Shake Your Bodyバージョン」の2つのタイプがあります。

Human Natureバージョン

「Human Natureバージョン」は、「その場ムーンウォーク」でその場にとどまっていたいのに動作が追いつかずにやむなく後方へ進むパントマイムの「プレッシャーウォーク」で徐々に後退していき、ほどなく前方へ進むパントマイムの「プレッシャーウォーク」によって元の位置へ戻る、という構成となっており、「その場ムーンウォーク」、後方へ進む「プレッシャーウォーク」、前方へ進む「プレッシャーウォーク」の3つの表現を組み合わせておこないます。

この「Human Natureバージョン」における「その場ムーンウォーク」のおもな足の使い方は、タイプ1のその場にとどまりながらムーンウォーク(バックスライド)しているようにみせる「その場ムーンウォーク」の表現がベースとなっています。

Shake Your Bodyバージョン

一方「Shake Your Bodyバージョン」は、「その場ムーンウォーク」でその場にとどまっていたいのに動作が追いつかずにやむなく後方へ進むパントマイムの「プレッシャーウォーク」で徐々に後退していき、最後にムーンウォーク(バックスライド)で後退する、という構成となっており、「その場ムーンウォーク」と後方へ進む「プレッシャーウォーク」、そして「バックスライド」の3つの表現を組み合わせておこないます。

この「Shake Your Bodyバージョン」における「その場ムーンウォーク」のおもな足の使い方は、タイプ2の月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」の表現がベースとなっています。

4. 強風にさからうようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」

4つ目のタイプは、強風にさからうようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」です。

この「その場ムーンウォーク」は、マイケル・ジャクソンが1992年公開のショート・フィルム「Jam」で披露した「その場ムーンウォーク」です。

この表現は、1976年公開の映画「Silent Movie」でマルセル・マルソーが披露したパントマイムの、強風にさからいながら前と後ろへ歩いてみせる「プレッシャーウォーク」の表現をベースに、タイプ2の月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」の表現を取り入れた表現となっています。

そのためこの「その場ムーンウォーク」の表現は、基本的にはタイプ2の「その場ムーンウォーク」と同じとしつつも、強風にさからいながらその場にとどまり歩いているようにみせる視覚効果として、おもに次の3つの点において特徴があります。

1. 後方へスライドする際の歩幅を大きく取る

後方へスライドする際の歩幅をタイプ2よりも大きく取り、特に左足はつま足が完全に床から離れるまで後方へ蹴り上げるようにスライドする。

2. 胸を「前に押し出すように」張る

前方からくる強風を身体で受け止める上半身の表現として、左足を後方へ蹴り上げるようにスライドする際に、胸を「前に押し出すように」張る。

3. 左足にタップダンスの「表現の要素」を入れない

左足を後方から前方へ戻す際はタップダンスの「表現の要素」を入れずにそのまま前方へ軽く蹴り出すように戻す。

5. アニメーションダンスの要素を取り入れた「その場ムーンウォーク」

5つ目のタイプは、アニメーションダンスの要素を取り入れた「その場ムーンウォーク」です。

この「その場ムーンウォーク」は、マイケル・ジャクソンが1996年のヒストリーツアーのStranger In Moscowで披露した「その場ムーンウォーク」です。

この表現は、1983年から1997年までマイケル・ジャクソンのパーソナルダンストレーナー(クリエイティブコンサルタント)としてマイケルが直接指導を受けたポッピン・タコ(Pop N Taco)(※6)の「ストップモーション・アニメーションスタイル」の「表現の要素」を取り入れた表現となっています。

「ストップモーション・アニメーションスタイル」とは、レイ・ハリーハウゼン(Ray Harryhausen)(※7)の創り出したクリーチャーの要素とストップモーション・アニメーション映画の動きの要素を融合する事によって、ストップモーション・アニメーション映画のクリーチャーの動きに見られる「コマ送り再生を早くしたような、滑らかさの中に細かくカクカクした独特の動きを織り交ぜた表現」に特徴があります。

ポッピン・タコの代表的ムーブの1つに一つ目巨人の「サイクロプス」がありますが、これはレイ・ハリーハウゼンが手がけた1958年公開の映画「シンバッド7回目の航海」(The 7th Voyage of Sinbad)に登場するサイクロプスに影響を受けて表現しています。

これを踏まえ、マイケル・ジャクソンが1996年のヒストリーツアーのStranger In Moscowで披露した「その場ムーンウォーク」は、ポッピン・タコのサイクロプスの表現に影響を受けた、マイケルの解釈によるマイケルバージョンのサイクロプスの表現でもあります。

このマイケル・ジャクソンバージョンのサイクロプスの表現では、上述の「コマ送り再生を早くしたような、滑らかさの中に細かくカクカクした独特の動きを織り交ぜた表現」というよりも、「ポッピング」の「表現の要素」を取り入れる事によって、ロボットの表現に近いシンプルな表現を採用しています。

「ポッピング」は本来、曲のビートに反応してポーズを形成した直後に身体の各部位を同時に弾いて表現するスタイルですが、アニメーションを表現する際はポッピングの持つ「身体の各部位を弾く」という「表現の要素」を取り入れて表現します。

まとめると、この「その場ムーンウォーク」の表現は、基本的にはタイプ1のその場にとどまりながらムーンウォーク(バックスライド)しているようにみせる「その場ムーンウォーク」と同じとしつつも、アニメーションダンスの要素を取り入れた「その場ムーンウォーク」の視覚効果として、おもに次の3つの点において特徴があります。

1. 動作のはじまりとおわりに「瞬間的に身体を弾く動作」を入れて表現する

動作のはじまりとおわり、すなわち「つま先を立ておわった直後」と「後方へのスライドがおわった直後」に、ポッピングの「表現の要素」である「瞬間的に身体を弾く動作」を入れて表現する。

2. 一歩一歩ゆっくりかつ重めに表現する

タイプ1が「一歩一歩滑らかな表現」であるのに対し、この「その場ムーンウォーク」では「一歩一歩ゆっくりかつ重めに表現」する。

3. かかとが床から離れないようにスライドする

足を後方へスライドする際は、かかとが床から離れないようにスライドする。

※6:マイケル・ジャクソンが自身のアニメーションダンスの表現を確立していく過程において影響を受けた2人のレジェンドのうちの一人。「ストップモーション・アニメーションスタイル」のオリジネーター(考案者)。1983年から1997年までマイケルのパーソナルダンストレーナー(クリエイティブコンサルタント)として、ポッピングとアニメーションスタイルの全てをマイケルに伝授した。マイケルの作品にはディズニーアトラクション体感型3D映画「キャプテンEO」(1986年)、映画「ムーンウォーカー」のSmooth Criminal(1988年)、ショートフィルム「ゴースト」(1996年)などに出演。なお、マイケルが自身のアニメーションダンスの表現を確立していく過程において影響を受けた2人のレジェンドのうちのもう一人のレジェンドとは、「リキッドアニメーションスタイル」のオリジネーターのブガルー・シュリンプの事。

※7:ストップモーション・アニメーションを取り入れた数々の特撮映画を生み出したレジェンド。ストップモーション・アニメーションとは、内部に骨格を持つ可動式ミニチュア人形の動くさまを1コマずつ変化させて撮影する事によって、再生するとその人形がまるで生きているかのような動きを表現する事ができる、特撮技術を駆使した実写アニメーションの事。

2つのわかる事

このようにマイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」を表現別に見てくると、ある「2つの事」がわかります。

1. 代表的な表現は「タイプ2」

2. 進化していった「その場ムーンウォーク」の表現

1. 代表的な表現は「タイプ2」

1984年のジャクソンズヴィクトリーツアーで披露したBillie Jeanの、その場にとどまりながらムーンウォーク(バックスライド)しているようにみせる「その場ムーンウォーク」(タイプ1)を経て、1987年のバッドツアー、1992年のデンジャラスツアー、1996年のヒストリーツアーの3つのすべてのワールドツアーで披露した、月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」(タイプ2)によって、この表現がマイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」の代表的な表現として定着しました。

2. 進化していった「その場ムーンウォーク」の表現

月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」(タイプ2)がマイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」の代表的な表現として定着していく一方で、1987年のバッドツアーのHuman NatureやShake Your Bodyで披露した、その場にとどまりたいのに後退していく「その場ムーンウォーク」(タイプ3)、1992年公開のショート・フィルム「Jam」で披露した、強風にさからうようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」(タイプ4)、そして1996年のヒストリーツアーのStranger In Moscowで披露した、アニメーションダンスの要素を取り入れた「その場ムーンウォーク」(タイプ5)の登場によって、マイケルの「その場ムーンウォーク」は公演を重ねていくごとにその表現は進化していきました。

やり方を理解する

以上を踏まえ、以降ではマイケル・ジャクソンの「その場ムーンウォーク」の代表的な表現であるタイプ2の、月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」をベースとする足の使い方の基本について詳しく解説していきたいと思います。

なお、アニメーションダンスの解説に関しては、今回の解説では「その場ムーンウォーク」の表現に限定した解説であったため、総合的に学びたい場合はこちらのコンテンツで詳しく解説しています。

アニメーションダンス講座|12のステップでわかる基礎・技・練習方法
「アニメーションダンスの構造」を理解するために取り組むべき事を12のステップ形式で解説します。

「その場ムーンウォーク」の基本

ここからは「その場ムーンウォーク」の足の使い方の基本について解説していきます。

今回の解説では、私の表現する次の「その場ムーンウォーク」の動画を参考動画としています。

解説:この動画の表現について

1987年のバッドツアーをはじめとする各ワールドツアーのBillie Jeanで披露したマイケル・ジャクソンの、月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」の表現は、それを構成するおもな「表現の要素」に、マイケルの「月の上を歩いているかのように後ろと前へ同時に歩いていくムーンウォーク」、すなわち「前に進んでいるようで後ろへ進んでいくバックスライド」の表現と、左足には、後方から前方へ戻す際に、つま先を内側から外側へ蹴り出すようにステップする「タップダンス」の表現、右足には、後方から前方へ戻す際に、エレクトリックブガルーズのクリーピンシッドが1979年に音楽番組「ソウルトレイン」で披露した、つま先からかかとにかけて前方へスライドしながらつま先を立てる「フロントスライド」の表現の各種要素が読み取れる事から、マイケルはこれらの「表現の要素」を抽出し再構築する事によって、マイケルの解釈によるマイケルバージョンの、月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」を表現している事がわかります。

これを踏まえ、この動画で私が表現している「その場ムーンウォーク」は、1987年のバッドツアーをはじめとする各ワールドツアーのBillie Jeanでマイケル・ジャクソンが披露した、月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」の表現をベースに、左足には1984年のジャクソンズヴィクトリーツアーのHuman NatureやShake Your Bodyでマイケルが披露した、その場にとどまりながらムーンウォーク(バックスライド)しているようにみせる「その場ムーンウォーク」の表現、右足には1979年に音楽番組「ソウルトレイン」でエレクトリックブガルーズのクリーピンシッドが披露した、つま先からかかとにかけて前方へスライドしながらつま先を立てる「フロントスライド」の表現がおもな構成要素であり、これらの表現から「表現の要素」を抽出し再構築する事によって、私の解釈による私バージョンの「その場ムーンウォーク」を表現しています。

6つの動作

「その場ムーンウォーク」の足の使い方の基本を解説するにあたり、動作の概要について解説します。

「その場ムーンウォーク」は、大きく分けると次の6つの動作で構成しています。

はじめに左足のつま先を立て(1)、左足を床に下ろすと同時に右足を時計回りに開きながら後方へスライドします(2)。

次に右足を前方へスライドしながらつま先を立て(3)、右足を床に下ろすと同時に左足をかかとからつま先にかけて後方へスライドします(4)。

そして左足を前方へ軽く蹴り出し(5)、左足のかかとが右足のつま先を超えたあたりで後方へ戻してつま先を立て、それと同時に右足を時計回りに開きます(6)。

「その場ムーンウォーク」前半

それでは「その場ムーンウォーク」前半の動作の解説に入ります。

「その場ムーンウォーク」のやり方①

ここではスタートポジションから左足のつま先を立てる動作について解説します。

スタートポジション

3時方向を正面とし、両足を肩幅以内に開いて立ちます。

左足の後ろ半分が右足のかかとのラインよりも後方へずれた状態とします。

この位置がスタートポジションです(0)。

左足

左足を前方へ軽く蹴り出し、右足のつま先のラインに合わせるようにつま先を立てます(1)。

右足

動かさずそのままとします。

体重

左足のつま先と右足の足の裏全体にかかっています。

「その場ムーンウォーク」のやり方②

ここではつま先を立てた左足を床に下ろすと同時に、右足を後方へスライドする動作について解説します。

左足

つま先を立てている左足を床に下ろします。

床に下ろす際、つま先を支点として反時計回りに2時方向へ一度回転してから元の3時方向へ戻して床に着地します(2’→2)。

右足

左足を床に下ろす2’から2の動作と同タイミングで、右足はかかとを軸に時計回りに5時方向へ回転しながら後方へスライドします(1)。

後方へスライドする距離は、自分の足のサイズの半分程度を目安とします。

体重

左足の足の裏全体にかかっています。

右足は次の動作で前方へ持っていくため、いつでも動かせるように床に軽く添えておく程度とします。

「その場ムーンウォーク」のやり方③

ここでは後方へスライドした右足を前方へ持っていきつま先を立てる動作について解説します。

右足

かかとを軸に反時計回りに回転しながら前方へスライドし、左足のつま先のラインに合わせるようにつま先を立てます(2)。

この時右足のつま先は正面の3時方向を向いています。

左足

動かさずそのままとします。

体重

右足のつま先と左足の足の裏全体にかかっています。

「その場ムーンウォーク」前半の動作の流れ

ここまでが「その場ムーンウォーク」前半の動作です。

前半の動作の流れをスローモーションで示したものが次の動画となります。

「その場ムーンウォーク」後半

ここからは「その場ムーンウォーク」後半の動作の解説に入ります。

「その場ムーンウォーク」のやり方④

ここではつま先を立てた右足を床に下ろすと同時に、左足を後方へスライドする動作について解説します。

右足

つま先を立てている右足を床に下ろします。

床に下ろす際、つま先を支点として時計回りに4時方向へ一度回転してから元の3時方向へ戻して床に着地します(3’→3)。

左足

右足を床に下ろす3’から3の動作と同タイミングで左足を後方へスライドし、つま先を立てるような姿勢とします(3)。

後方へスライドする距離は、自分の足のサイズ程度を目安とします。

体重

右足の足の裏全体にかかっています。

左足は次の動作で前方へ持っていくため、いつでも動かせるように床に軽く添えておく程度とします。

「その場ムーンウォーク」のやり方⑤

ここでは後方へスライドした左足を前方へ持っていきつま先を立てる動作について解説します。

左足

後方へスライドした左足を前方へ軽く蹴り出し(4)、左足のかかとが右足のつま先を超えたあたりで後方へ戻してつま先を立てます(5)。

この時のつま先の向きは2時方向を向いています。

※このあと時計回りに3時方向へ回転しながら床に着地します。

右足

左足のつま先を立てる動作と同タイミングで、右足はかかとを軸に時計回りに5時方向へ回転します(4)。

※このあと後方へスライドする動作となります。

体重

左足のつま先と右足のかかとにかかっています。

「その場ムーンウォーク」後半の動作の流れ

ここまでが「その場ムーンウォーク」後半の動作です。

後半の動作の流れをスローモーションで示したものが次の動画となります。

動作のまとめ

以上が「その場ムーンウォーク」の足の使い方の基本についての解説でした。

動作を繰り返す場合は「その場ムーンウォークのやり方②」の動作からおこないます。

最後に、今回解説した「その場ムーンウォーク」の動作の流れを次のスローモーション動画でおさらいしましょう。

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「その場ムーンウォーク」の表現の応用

参考までに「その場ムーンウォーク」の表現の応用として、ここでは次の2つの「その場ムーンウォーク」を紹介します。

1. 右足スライド型

1つ目は、「右足スライド型その場ムーンウォーク」です。

この動画で私が表現している「その場ムーンウォーク」は、1987年のバッドツアーをはじめとする各ワールドツアーのBillie Jeanでマイケル・ジャクソンが披露した、月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」の表現をベースに、従来の両足スライド型「その場ムーンウォーク」に対する別解釈として、「右足だけをその場で後方へスライドする」オリジナル表現と、左足には1987年のバッドツアー以降のBillie Jeanでマイケルが披露した、左足を後方から前方へ戻す際に、つま先を内側から外側へ蹴り出すようにステップするタップダンスの「表現の要素」を取り入れた表現、右足には1979年に音楽番組「ソウルトレイン」でエレクトリックブガルーズのクリーピンシッドが披露した、つま先からかかとにかけて前方へスライドしながらつま先を立てる「フロントスライド」の表現がおもな構成要素であり、これらの表現から「表現の要素」を抽出し再構築する事によって、私の解釈による私バージョンの「右足スライド型その場ムーンウォーク」を表現しています。

2. その場にとどまりたいのに後退していく

2つ目は、その場にとどまりたいのに後退していく「その場ムーンウォーク」です。

この動画で私が表現している、その場にとどまりたいのに後退していく「その場ムーンウォーク」は、1987年のバッドツアーのShake Your Bodyでマイケル・ジャクソンが披露した、その場にとどまりたいのに後退していく「その場ムーンウォーク」の表現と、1987年のバッドツアーをはじめとする各ワールドツアーのBillie Jeanでマイケルが披露した、月の上を歩いているかのようにその場にとどまりながら後ろと前へ同時に歩いてみせる「その場ムーンウォーク」の表現をベースに、従来の両足スライド型「その場ムーンウォーク」に対する別解釈として、「右足だけをその場で後方へスライドする」オリジナル表現と、左足には1987年のバッドツアー以降のBillie Jeanでマイケルが披露した、左足を後方から前方へ戻す際に、つま先を内側から外側へ蹴り出すようにステップするタップダンスの「表現の要素」を取り入れた表現、右足には1979年に音楽番組「ソウルトレイン」でエレクトリックブガルーズのクリーピンシッドが披露した、つま先からかかとにかけて前方へスライドしながらつま先を立てる「フロントスライド」の表現、および1987年のバッドツアーのShake Your Bodyでマイケルが披露したその場にとどまっていたいのに動作が追いつかずにやむなく後方へ進むパントマイムの「プレッシャーウォーク」の表現、そしてオリジナル表現の「メカニカルに後方へ進んでいくバックスライド」がおもな構成要素であり、これらの表現から「表現の要素」を抽出し再構築する事によって、私の解釈による私バージョンの、その場にとどまりたいのに後退していく「その場ムーンウォーク」を表現しています。

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バックスライドを総合的に学ぶためには

以上が「その場ムーンウォーク」の基本と表現の応用についての解説でした。

「その場ムーンウォーク」は単独で表現する事もあれば、たとえばマイケル・ジャクソンがBillie Jean終盤の間奏部分で「その場ムーンウォーク」の直後にバックスライドへすみやかに移行して表現しているように、バックスライドと組み合わせて表現する事もあります。

これを機にバックスライドを総合的に学びたい場合はこちらのコンテンツで詳しく解説しています。

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それではまた次のコンテンツでお会いしましょう。

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マイケル・ジャクソンの回転ムーンウォークでおさえておくべき主要5種の回転ムーンウォークを解説します。

マイケルを乗り越える

マイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)を乗り越えるための考察と方法について全5回シリーズで解説しています。

マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越える方法
マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越えるための考察と方法を全5回シリーズで解説します。
KAIZOU NINGEN

ダンス研究家。専門はムーンウォークとアニメーションダンス。幼少期にマイケル・ジャクソンのメカニカルな動きを取り入れたダンスに影響を受け、1990年よりダンスの研究を始める。マイケル・ジャクソン没後10年特集番組へ情報提供(TBS「一番だけが知っている」:2019年)。

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その場 ムーンウォーク
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KAIZOU NINGEN
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