マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越える方法

マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越えるための考察と方法を全5回シリーズで解説していきます。
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マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越える方法

周知のとおり、1983年のモータウン25でムーンウォーク(バックスライド)を初披露したことに端を発するマイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」は、その後、その場ムーンウォークや回転ムーンウォーク、そしてサイドムーンウォークへと展開し、いまでは誰もがやってみたいと思った時にこれら「ムーンウォーク」を「ハウツー」として習えるところまで普及しました。

それから数十年が経過したいま、まわりを見わたすと、「ムーンウォーク」を教える側、それを習う側をはじめ、「ムーンウォーク」を表現する側、それを見るオーディエンス側のほとんどの人が、マイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」を型に落とし込んだ「ハウツー」やマイケルの「ムーンウォーク」をそのままトレースした「完全コピー」で満足してしまうようになってしまいました。

そしていつのまにか、マイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」を完全コピーすることが「ムーンウォーク」を習得する目的となり、マイケルの「ムーンウォーク」へできるだけ近づけて再現できる人が「上手い」と評価され、ずれていると容赦なく「下手」と評価されるようになってしまいました。

端的に言えば、私たちは数十年間もの長い間、マイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」から学ぶべき方向性を見誤っていたと言ってよいでしょう。

なぜなら、クリエイティブの観点からすると、マイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」の完全コピーはマイケルの「二番煎じ」であり、表現者として「新しい表現」、「価値観」を何も提示していないからです。

本当の課題とは

本来マイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」から私たちが学ぶべきこととは、クリエイティブにおける「既存の表現を解釈する考え方」、「オリジナリティーを提示する考え方」、「新しい価値観を創り出す考え方」などを通して、マイケルの表現する「ムーンウォーク」からクリエイティブの「本質」を見極め、自分の表現としてつかみ取ることにあります。

なぜなら私たちが「ムーンウォーク」を表現する上で取り組むべき「本当の課題」とは、マイケル・ジャクソンの表現する「ムーンウォーク」から「クリエイティブの本質」を学び取り、「自分の表現としてのムーンウォーク」を提示することによってマイケルの「ムーンウォーク」を乗り越え、独創的に新しく展開していくことだからです。

マイケルを乗り越える方法

これまでマイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」を乗り越えるために先人がおこなってきたことは、マイケルの「ムーンウォーク」をそのまま完全コピーし、その「技術」に対して追いつき追い越せということでした。

しかしこのやり方には、たとえマイケル・ジャクソンよりも精度の高い「ムーンウォーク」を身につけて「技術」で追い抜いたとしても、結局はマイケルがたどった道をそのままなぞっただけであり、マイケルの「二番煎じ」にしかならず、乗り越えたことにはならないという限界がありました。

私たちはマイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」を「技術の観点」からではなく「クリエイティブの観点」からとらえ、マイケルの表現する「ムーンウォーク」から「クリエイティブの本質」を学び取り、乗り越えるべきだったのです。

そこで本シリーズでは、マイケルの「ムーンウォーク」を乗り越えるための第一歩として「バックスライド」を取り上げ、マイケルのムーンウォーク(バックスライド)を乗り越えるための考察と方法を全5回にわたり解説していきます。

各コンテンツの紹介

本シリーズは、第1回から順に読み進めていくことによって、これまで私たちがマイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)に対して無意識に抱いていた「マイケルを乗り越えることなんてできるはずがない」に対する「勘違い」、「思い込み」、「盲点」を段階的に解放し、最終的にはマイケルのムーンウォーク(バックスライド)を乗り越えるための「一つの答え」を解説していく構成としています。

また、内容は「バックスライド」を例に解説していますが、「クリエイティブの本質」をテーマとしていますので、すべての「ムーンウォーク」はもとより、ひいてはすべてのストリートダンスにも通底する内容となっています。

01. 誰がムーンウォークを教え、そして授けたのか

1988年に出版されたマイケル・ジャクソンの自伝「ムーンウォーク」(※1)でマイケルは、ムーンウォーク(バックスライド)を教えてくれたのは3人の子供たちで(※原文は「three kids」)、彼らから基本を授かったとしか語っておらず、誰からムーンウォーク(バックスライド)を教わったのかは明らかにしないままこの世を去りました。

マイケル・ジャクソンへムーンウォーク(バックスライド)を教えた人物が誰なのかについては諸説ありますが、マイケルが1983年のモータウン25(※2)でムーンウォーク(バックスライド)を初披露する前に、少なくとも3人のキッズ(kids:若者たち)と3人の子供たち(children)に出会っていることがわかっています。

当時マイケル・ジャクソンが構想していたことは、既存のバックスライドとは違う「新しい価値観」としての新しいバックスライドをクリエイトする(創り出す)ことでした。

自伝「ムーンウォーク」では、ムーンウォーク(バックスライド)を教えてくれたのは3人の子供たちで、彼らから基本を授かったと語ることによって、何の問題もなくさらりとやってのけたかのように演じているマイケル・ジャクソンですが、実際はムーンウォーク(バックスライド)をクリエイトしていく過程において「表現者」としての悩みと苦労がありました。

本解説では、3人のキッズ(kids:若者たち)と3人の子供たち(children)との出会いを通じてマイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)の表現の確立に貢献した人物のうち、マイケルが影響を受けた2人のレジェンドに着目しています。

その2人のレジェンドとは、ジェフリー・ダニエル(Jeffrey Daniel)とブガルー・シュリンプ(Boogaloo Shrimp)です。

※1:マイケル・ジャクソン著、田中康夫訳、河出書房新社、2009年。

※2:マイケル・ジャクソンがジャクソン5時代に所属していたレコードレーベル「モータウン」の設立25周年を記念して開催された音楽の祭典。そのハイライトは1983年5月16日に全米でTV放送された。祭典の正式名称は「Motown25: Yesterday, Today, Forever」(モータウン25:昨日、今日、そして永遠に)。

第1回|2人のレジェンド

そこで第1回目は、マイケル・ジャクソンがムーンウォーク(バックスライド)を初披露した1983年のモータウン25前後のおもな出来事を時系列で見ていくことによって、誰が本当の意味でマイケル・ジャクソンにムーンウォーク(バックスライド)を教え、誰が本当の意味でそれを授けたのかについて考察していきたいと思います。

誰が本当の意味でマイケルにムーンウォークを教え、そして授けたのか
マイケルが構想していたことは既存のものとは違う新しいバックスライドをクリエイトすることでした。

02. ムーンウォークの神様ではない理由

私たちはいままでずっとマイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)をめぐる「勘違い」と「思い込み」の渦中にいて「あること」に気づいていませんでした。

それは、マイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)は「乗り越えることができる」ということです。

現在でも多くの人がマイケル・ジャクソンを「ムーンウォーク(バックスライド)の神様」としてリスペクトし続けていると同時に、マイケルのムーンウォーク(バックスライド)を「誰も乗り越えることができない」と考えています。

しかしながら、本来マイケル・ジャクソンを「ムーンウォーク(バックスライド)の神様」としてリスペクトすることと、マイケルのムーンウォーク(バックスライド)を「誰も乗り越えることができない」と考えることは切り離して考えなければなりません。

なぜならマイケル・ジャクソンはムーンウォーク(バックスライド)のレジェンドではありますが、未来永劫、誰も乗り越えることのできないムーンウォーク(バックスライド)の神様ではないからです。

第2回|「勘違い」と「思い込み」

そこで第2回目は、マイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)をめぐる「勘違い」と「思い込み」にスポットを当て、その真相について詳しく解説していきたいと思います。

マイケル・ジャクソンはムーンウォークの神様ではない理由
私たちはいままでずっと「勘違い」と「思い込み」の渦中にいて気づいていなかったのです。

03. 完全コピーを目指さない方がよい理由

私たちはいままでずっとマイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)をめぐる「勘違い」と「思い込み」の渦中にいたことによって、バックスライドの習得においても「あること」に気づいていませんでした。

それは、バックスライドの習得で「本当に目指すべきもの」は完全コピーではなく他にあるということです。

それではその「本当に目指すべきもの」とは一体何なのでしょうか。

それは「自分の表現としてのバックスライド」です。

第3回|「自分の表現」の方向性

そこで第3回目は、マイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)の完全コピーを目指さない方がよい理由にスポットを当て、その理由を明らかにした上で、マイケルがどのようにしてムーンウォーク(バックスライド)を「自分の表現」として確立したのか、そしてそこから私たちがバックスライドを「自分の表現」として提示するための方向性とは何かについて詳しく解説していきたいと思います。

マイケルのムーンウォークの完全コピーを目指さない方がよい理由
マイケルのムーンウォークの完全コピーではない「本当に目指すべきもの」とは何かについて解説します。

04. 代名詞としてはいけない理由

ダンスの歴史でマイケル・ジャクソンが残した功績の一つは、当時ストリートダンサーの間で流行りつつあった「バックスライド」にいち早く着目し、「ムーンウォーク」としての価値を最大限に引き上げたことです。

マイケル・ジャクソンがムーンウォーク(バックスライド)を初披露した1983年から数十年が経過した現在においても、私たちはその影響下にあると言っても過言ではありません。

なぜなら「ムーンウォーク」の名称が依然としてマイケル・ジャクソンのゆるぎない代名詞となっており、マイケルのムーンウォーク(バックスライド)を誰も超えられないでいるからです。

これまでマイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)を乗り越えるために先人がおこなってきたことは、マイケルのムーンウォーク(バックスライド)をそのまま完全コピーし、その「技術」に対して追いつき追い越せということでした。

しかしこのやり方には、たとえマイケル・ジャクソンよりも精度の高いムーンウォーク(バックスライド)を身につけて「技術」で追い抜いたとしても、結局はマイケルがたどった道をそのままなぞっただけであり、マイケルの「二番煎じ」にしかならず、乗り越えたことにはならないという限界がありました。

私たちはマイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)を、「技術の観点」からではなく「クリエイティブの観点」からとらえてマイケルのムーンウォーク(バックスライド)の「本質」を学び取り、乗り越えるべきだったのです。

第4回|突破口

そこで第4回目は、マイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)を乗り越えるための「突破口」にスポットを当て、その「突破口」がどこにあるのかについて詳しく解説していきたいと思います。

「ムーンウォーク」をマイケルの代名詞としておいてはいけない理由
マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越えるための「突破口」を解説します。

05. 「本当の意味において難しいこと」とは

「ムーンウォーク(バックスライド)を表現する上で本当の意味において難しいこと」とは、現在ほぼすべての人が共通認識として持っている、マイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)が「絶対的基準」である、という価値観に対し、どうすればこれまでの価値観を乗り越え「自分の表現としてのバックスライド」を提示できるか、ということにあります。

第5回|乗り越える方法

そこでシリーズ最終回となる第5回目は、マイケル・ジャクソンのムーンウォーク(バックスライド)を乗り越える方法にスポットを当て、その「一つの答え」について詳しく解説していきたいと思います。

ムーンウォークを表現する上で本当の意味において難しいこととは
マイケル・ジャクソンのムーンウォークを乗り越えるための「一つの答え」を解説します。
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