アニメーションダンスの基礎|代表的なスタイル・技の種類と使い方

アニメーションダンスを習得するポイントを全12回にわたって解説していくシリーズの第4回目です。

アニメーションダンスの基礎|代表的なスタイル・技の種類と使い方

前回の解説

第1回から第3回の解説ではアニメーションダンスの歴史・種類・定義など、アニメーションダンスを取り巻く世界について外側からアプローチする形で解説してきました。

今回はアニメーションダンスの内側へアプローチし、アニメーションダンスの基本構成と各種スタイルの関連性を踏まえ、ダンスの構成で各種スタイルがどのような使い方をしているのかについて解説します。

【第1回】アニメーションダンスの歴史

アニメーションダンスとは|歴史・ルーツ・発祥と2つの系統について
「アニメーションダンスの構造」を理解する第一歩は、アニメーションダンスの歴史を理解する事です。

【第2回】アニメーションダンスとアニメーションスタイルの違い

アニメーションダンスの基礎|アニメーションダンスとスタイルの違い
アニメーションダンスとアニメーションスタイルは各々の創られた背景が異なるため表現にも違いがあります。

【第3回】”スタイルのルール”とアニメーションダンス

アニメーションダンスの基礎|ストリートダンスのスタイルのルール
ストリートダンスの「スタイル」にはルールがあり、アニメーションダンスもこのルールが当てはまります。

アニメーションダンスの基本構成と各種スタイルの関係

アニメーションダンスの表現は、主にアニメーションダンス(※1)とアニメーションスタイル(※2)の2つに大別されます。

※1:今日のアニメーションダンス、およびその前身のオールドスクールアニメーションダンス

※2:オールドスクールアニメーションスタイル

アニメーションダンスについて

アニメーションダンス基本構成は、ポッピング、ウェーブ、ロボット、アニメーションの4種類のスタイルによって構成されています。

この基本構成へ表現者は曲に対する表現のイメージに合わせて、ティッキング、ストロボ、スローモーション、スネーク(コブラ)、フロアムーブ、バイブレーション、キングタットなどの各種スタイルをオプションで追加する事によってアニメーションダンスの構成を作っていきます。

アニメーションスタイルについて

アニメーションスタイルは、メインスタイルをポッピンスタイルとしたダンスの構成の一つにアニメーションスタイルがあります。

基本構成はアニメーションダンスと同様、ポッピング、ウェーブ、ロボット、アニメーションの4種類のスタイルによって構成されています。

この基本構成へ表現者は曲に対する表現のイメージに合わせて各種スタイルを選択し、ダンスの構成を作っていきます。

このように、アニメーションダンスとアニメーションスタイルは、前者が「ジャンル」、後者が「スタイル」という違いはありますが、表現されるダンスの基本構成および各種スタイルは全て共通しているのが特徴です。

各種スタイルの解説(10種)

ここからはアニメーションを表現する際によく使う代表的な10種類のスタイルについて解説します。

ポッピング

曲のビートに反応してポーズを形成した直後に身体の各部位を同時に弾いて表現するポッピングは、1976年にエレクトリックブガルーズ(Electric Boogaloos)のブガルー・サム(Boogaloo Sam)によって創り出されました。

ポッピングは、当時の最先端のストリートダンスを発信していた音楽番組「ソウルトレイン」へ1979年にエレクトリックブガルーズが出演した事がきっかけとなり全米に広がり、1984年公開の「ブレイクダンス」(Breakin’)によって世界に認知されるようになります。

クリエイティブの由来

ポッピングのクリエイティブのインスピレーションの源は、1960年代中期から後期にかけて流行した”ジャーク”という動きや教会で人々がゴスペルに合わせて”シェイク”している時の動きに由来しています。

初期の頃は腕を前に伸ばしたり横に広げるなどの直線的な表現がメインでしたが、次第に改良され現在のようにより立体的に、そしてより自在に表現されるようになりました。

ポッピングの使われ方の種類

ポッピングの主な使われ方は、エレクトリックブガルースタイルポッピン(ブーグスタイル)としての使われ方と、ポッピングの持つ”身体の各部位を弾く”という表現の特徴を利用して「アニメーション」のパートで使う要素としての使われ方、そして、他のスタイルとポッピングを組み合わせて使う使われ方の3種類があります。

エレクトリックブガルースタイルポッピン(ブーグスタイル)とは、エレクトリックブガルーズが創出し、提唱しているダンススタイルの総称の事です。

この中には、「ポッピンスタイル」の他に「ブガルースタイル」、「スケアクロウスタイル」、「パペットスタイル」、「トイマンスタイル」などの、それぞれが”固有の意味を持っているスタイル”が入っています。

ポッピングを演じる時は、ポッピンスタイルをメインスタイルとする中で、表現者の個性としてブガルースタイルやパペットスタイルなどの他のスタイルのフレーバーを入れて表現したり、ポッピングと他のスタイルを組み合わせた”スタイリング”を入れて表現します。

ポッピングの使われ方の違い

オールドスクールアニメーションスタイルでは、ダンスの構成のメインスタイルをエレクトリックブガルースタイルポッピン(ブーグスタイル)として使われていますが、今日のアニメーションダンスやオールドスクールアニメーションダンスではエレクトリックブガルースタイルポッピン(ブーグスタイル)としては使われていないのが特徴です。

今日のアニメーションダンスやオールドスクールアニメーションダンス、オールドスクールアニメーションスタイル全てに共通する主な使われ方は、「アニメーション」のパートで使う要素としての使われ方と、ウェーブやロボットなどの他のスタイルと組み合わせて使う使われ方です。

ポッピングについては第8回目で詳しく解説しています

【第8回】アニメーションダンスとポッピング

ポップダンス(ポッピング)とは|絶対おさえておきたい基本と練習
歴史、ジャンルとスタイルの違いから、音の取り方、身体の使い方の基本と練習方法の考え方まで解説します。

ウェーブ

身体をコントロールして流れる水のように表現するウェーブ(ウェービング)は、エレクトリックブガルーズのトイマン・スキート(Toyman Skeet)ことアルバート・プレイダー(Albert Prader)が、”タイダル・ウェーブ・スキート”(Tidal Wave Skeet)のストリートネームだった時に身体を波打つようにアイソレーションしていく「タイダルウェーブ」(津波)というボディーウェーブを1976年に開発したのが始まりです。

その後、1982年にカリフォルニア州北部にあるサンフランシスコ・ベイエリア周辺のストリートダンサー達による“指先から始まる”ハンドウェーブの開発によって、より身体を自在にウェービングする事が出来るようになり本格的に広がっていきました。

ウェーブの基本の種類とバリエーション

ウェーブの基本の種類は主に、手の指先から肘、肩を経由して反対側の手の指先へ流していくハンドウェーブ、頭から足にかけて流した後、折り返し足から頭にかけて流していくボディーウェーブ、手を添えたところにウェーブの波の山を作って流していくタッチウェーブの3種類の流し方があります。

また、ティッキングを入れて細かく流れるようなパラパラ漫画の動きとしたり、ウェーブを流す動線上にポッピングを織り交ぜたりするなど、他のスタイルと組み合わせる事で様々なバリエーション展開が可能です。

ブガルースタイルとの違い

腰・膝・頭などの身体のあらゆる部分のロールを使い、移動する事によって流動的に表現するスタイルブガルースタイルです。

このスタイルは、1976年にエレクトリックブガルーズのブガルー・サムによって、(ルーニー・テューンズなどの)カートゥーン・アニメーションに登場するTVアニメのキャラクターが「骨が無いように動いているシーン」からヒントを得て考案されました。

ウェービンスタイルとは創られた背景が全く違うため、表現者はウェービンスタイルとブガルースタイルの違いを理解して表現する必要があります。

ウェーブを使いこなせるようになるための第一歩は、「ウェーブの3大原則」を基本とした下地をしっかり作っていく事です。

原則1.一度ラインを作ったら流し終わるまでラインを崩さない

ラインを作るとは、ウェーブの構えの事です。

一度構えたらそのラインを固定し、ウェーブ中はラインを崩さずに波の山の部位だけを動かします。

原則2.波の大きさを一度決めたらサイズを変えない

ウェーブの波の大きさには主に大・中・小の3パターンがあります。

通常は中サイズで行いますが、一度中サイズでウェーブを始めたら、途中で大や小にサイズ変更しないで最後まで流しきります。

原則3.ウェーブ前後の波の山を残さない

ウェーブを行っている波の山の部位以外に山が残っていると、せっかくのウェーブが台無しになってしまいます。

特にハンドウェーブの場合は、指の付け根のところで波の山が残っていたり、指先が反りすぎていたり、親指が上を向かないようにします。

参考

ウェーブの基本3種類の流し方を使って表現しているウェーブ・コンビネーションです。

ウェーブについては第9回目で詳しく解説しています

【第9回】アニメーションダンスとウェーブ

ウェーブダンスのやり方|基礎から応用のアニメーションダンスまで
ウェーブの基本からアニメーションダンスとアニメーションスタイルのウェーブの違いについて解説します。

ロボット

ストリートダンスにおけるロボットは、ソウルトレインで1970年代初頭にロボットを踊るストリートダンサーが登場し始めた事がきっかけとなり徐々に浸透していきました。

一般に広がった決定的出来事は、1973年の同番組においてジャクソン5のヴォーカルだったマイケル・ジャクソンが新曲「Dancing Machine」のライヴパフォーマンスでロボットを披露した事でした。

この出来事により全米の若い世代がロボットをやり始めるようになり、1970年代はロボットダンスが全盛期を迎える事となります。

ロボットの表現の基本

ロボットの動きは、各部位の可動範囲を主に左右(X軸)・上下(Y軸)・前後(Z軸)・(各軸の)回転へ制限し、1モーションにつき1部位の機械的動作を基本原則とします。

ロボットスタイルを演じている時は、ロボットの持つ非人間的無機質さを効果的に表現するために“目の瞬き”を排除する事が鉄則です。

ロボットの表現の使われ方の種類

ロボットの表現の使われ方は、ロボットスタイルのパートを設けて踊る場合と、パートを設けずに次のモーションへ移行する際のアクセントとして踊る場合の2通りがあります。

ロボットスタイルのパートを設けて踊る場合は、身体の部位の移動や動作の始動・停止時の動きの際にポッピングで身体を弾く要素を使用したオーソドックスなロボットスタイルや、ポッピングの要素を使用しないシンプルなロボットスタイル(マネキンダンス)があり、バリエーションとして、動作の始動・停止の間のモーションにティッキングを入れるなどの表現があります。

パートを設けずに次のモーションへ移行する際のアクセントとして踊る場合は、ロボット特有の一定の速度で身体の向きを変える回転や、モーションを停止した後にロボットの動作の停止時に生じる”ぶれ”を加える動きなどがあります。

参考

ロボットの基本動作を表現しています。

ロボットについては第10回目で詳しく解説しています

【第10回】アニメーションダンスとロボット

アニメーションダンスとロボットダンスの動きの違い|やり方・コツ
ロボットの動きを取り入れた表現には主に3種類の表現があり、各々を使い分けて表現する事が求められます。

ティッキング

ティッキングの原型

ティッキングはエレクトリックブガルーズの前身であるエレクトロニックブガルーロッカーズ(Electronic Boogaloo Lockers)時代のメンバーだったティッキン・ウィル(Tickin Will)が1976年に考案しました。

この時に考案されたのが「オンカウントとエンカウントを1セットとして小刻み且つランダムにポーズを形作っていくスタイル」です。

現在のティッキング

現在のティッキングは、「時計の秒針がカチカチ動いていくように等間隔に順を追ってパラパラ漫画のような動きをするスタイル」の事を指します。

映画「ブレイクダンス」が公開された1984年には、ティッキン・ウィルが考案したスタイルよりもこのスタイルが「ティッキング」としてストリートダンサーの間で一般化されており、それが今日まで継承されています。

参考までに、厳密には、現在のティッキングである「時計の秒針がカチカチ動いていくように等間隔に順を追ってパラパラ漫画のような動きをするスタイル」の事を、本来は“ストロビング(Strobing)”と呼びます。

現在のティッキングの表現のルーツ

現在のティッキングの表現のルーツは、カートゥーン・アニメーションの仕組みについて理解する必要があります。

カートゥーン・アニメーションは、海外のTVアニメーションが秒間24コマのうち12コマ、すなわち2コマにつき1枚の間隔でセル画を差し込んで動画を作成しており、アニメーション映画で採用する24コマ全てにセル画を差し込んで作成されたフルアニメーションの非常に滑らかな動画と比べると、パラパラ漫画を細かく滑らかにしたような表現のように見えます。

現在のティッキングの表現は、この秒間のコマ数を少なくしたカートゥーン・アニメーションに見られるパラパラ漫画のような動きからインスピレーションを得て考案されたスタイルです。

ティッキングは他のスタイルとの組み合わせの相性が良く、ウェーブや歩く動作、スネーク、ロボットなど幅広く対応出来るのが特徴となっています。

参考

ウェーブを使ったティッキングを表現しています。

ストロボ

ストロボ(ストロビング)は、フラッシュを連続して点滅した時に照らし出された人物の残像が、通常のスムーズな動きに対して間引いた動きのように見える軌跡を表現するスタイルです。

本来のストロボの表現

本来のストロボ(ストロビング)の表現は、ティッキングの項で解説したように現在のティッキングの表現である”時計の秒針がカチカチ動いていくリズムに合わせるように等間隔に順を追ってパラパラ漫画のような動きをする”事を指し、現在のモーションから次のモーションまでの間を細かくリズムを刻むように動かして表現します。

現在のストロボの表現

これに対し現在のストロボ(ストロビング)の表現は、ティッキングのように現在のモーションから次のモーションまでの間の細かい動きを廃し、ティッキングを間引いた表現のパラパラ漫画のように、現在のモーションから次のモーションへ等間隔に順を追って一つ一つの動きをカチッ・カチッと決めていく動きで表現します。

参考

ウェーブを使ったストロボを表現しています。

スローモーション

通常の時間の流れから一瞬にしてゆっくり流れる世界へと変化するスローモーションの表現は、今日のアニメーションダンスの主要な表現の一つです。

ハイスピードカメラによって1秒間に数百~数万コマで高速度撮影された映像をスロー再生した時に映し出される極めて滑らかなスローモーションの動きをイメージしたこのスタイルは、激しい曲調からのスローダウン、あるいは直前に行っているスピードの速いモーションからスローダウンした時など、コントラストの差が大きいほどインパクトのある視覚効果が得られるスタイルです。

スローモーションの表現の使われ方

スローモーションの表現の使われ方は、主に歩く動きの途中やウェーブを流している途中で瞬時に切り替える使われ方をしており、フラットトップ(Flattop)のような達人クラスになると顔の表情にも適用されます。

スローモーションの表現のポイント

瞬発的な動きや微細な動きも鮮明に映し出されるスローモーションの動きを表現する際のポイントは、常に一定で滑らかなスピードを維持して行う事です。

特に体重移動を伴うスローモーションの表現において、体重を切り替える際に身体が止まったりぶれたりしないようコントロールします。

スネーク(コブラ)

スネークやコブラなどのスネーキングは、今日のアニメーションダンスでは積極的には採用されていないスタイルですが、オールドスクールアニメーションダンスやオールドスクールアニメーションスタイルではよく採用されているスタイルです。

スネーキングの表現①

スネーキングの表現は主に2つの表現に大別されます。

一つは、エレクトリックブガルーズ(Electric Boogaloos)のメンバーだったミステリアスポッパーズ(Mysterious Poppers)の”キングコブラ”ことダリル・ジョンソン(Darryl Johnson)が、1979年にブガルー・サムの胸を大きくロールするアイソレーションの動きを見た時にインスピレーションを得て創り出し、後にポッピン・タコ(Pop’N Taco)へ継承されたスタイルです。

時計回り、あるいは反時計回りに胸を大きくアイソレーションする動きを基本とし、身体全体をロールしながら回転したり、身体のラインをS字状の体勢に形作る事で表現します。

これらの表現のうち、胸を大きくアイソレーションして身体全体をロールしながら回転する表現の事を”コブラ”と呼び、ポッピン・タコの主要表現の一つとなっています。

参考:コブラの表現

ポッピン・タコが採用している360度全方向回転型コブラを表現しています。

スネーキングの表現②

スネーキングの表現のもう一つはブガルー・シュリンプが創り出したスタイルです。

身体のラインをS字状の体勢に形作りながら前方に進んだり、低い姿勢からS字を描きながら上昇していく事で表現します。

参考:スネークの表現

ブガルー・シュリンプが採用しているS字上昇型のスネークを表現しています。

フロアムーブ

“ムーンウォーク”(バックスライド)の名称で知られているフロアムーブは、1970年代後期よりウェストコースト(西海岸)のストリートダンサーの間で広まったスタイルです。

1983年のモータウン25で行われたショーにおいて、マイケル・ジャクソンがBillie Jeanのライヴパフォーマンス中にバックスライドを披露した事によって一般に広まりました。

ストリートダンスの歴史においては、1978年に放送された「Midnight Special」、「Hot City TV Show」の2つのTV番組で、エレクトリックブガルーズのクリーピン・シッド(Creepin Sid)が全米のTV放送で初めてバックスライドを披露した事が始まりです。

フロアムーブの種類

今日のアニメーションダンスでも登場するフロアムーブは、足を後方へ交互にスライドして月面上を前に進むように後ろへ滑らかに進んでいくムーンウォーク(バックスライド)、横にスライドしながらムーンウォークするサイドウォーク(サイドフロート)、そして360度に回転する回転ムーンウォークの3つに大別されます。

そのうち回転ムーンウォークは、ブガルー・シュリンプを原型とし、足を時計回り、あるいは反時計回りにスライドしながら360度回転するサークルフロート系と、エレクトリックブガルーズのブガルー・サムを原型とし、時計回り、あるいは反時計回りに重心移動を行いながら360度の弧を描くように身体を回転していくオリジナルムーンウォーク系の2種類があります。

マイケル・ジャクソンが披露した主要なムーンウォークを実演しています。他にも各種ムーンウォーク、アニメーションダンスの動画をYouTubeで公開しています。

 

バイブレーション

主に連打するリズムに合わせて全身を小刻みに震わせるバイブレーションは、今日のアニメーションダンスにも採用されているスタイルの一つです。

世界中で最も多くの人々が目撃したバイブレーションスタイルは、1983年に公開されたマイケル・ジャクソンのBeat Itのショート・フィルムの終盤に登場する、帽子を被った眼鏡のダンサー(ダン・パーカー:Dane Parker)が首のバイブレーションをするクローズアップシーンが挙げられます。

バイブレーションの身体の使い方

バイブレーションを生み出す身体の使い方の基本は足で、膝の小刻みな屈伸とももの後ろの筋肉(大腿二頭筋)のコントロールによって行い、バリエーションとして腹筋や首、腕を使う方法もあります。

バイブレーションの表現の違い

ダン・パーカーやブガルー・サムが表現するエレクトリックブガルーズのバイブレーションスタイルは、一つ一つの動きの振り幅を細かく且つ素早く反復する事によって、小刻みなバイブレーションを行っています。

エレクトリックブギースタイル(※3)では、ニューヨーク・シティ・ブレイカーズのミスターウェーブ(Mr. Wave)が一つ一つの動きの振り幅を大きく取る事によって、重みのあるバイブーションを行っています。

※3:エレクトリックブギー(Electric Boogie)とは、エレクトリックブガルーズのポッピンスタイルやウエストコースト(西海岸)で誕生したウェーブなどの各種スタイルの影響を受けて、主にニューヨークのイーストコースト(東海岸)で開発、発展したダンススタイルの総称の事

参考

ボディーからハンドにかけて小刻みに震わせる表現のバイブレーションを表現しています。

キングタット

キングタットは別名“タッティング”あるいは“エジプシャン”とも呼ばれているスタイルで、エジプトの壁画に描かれている2次元の絵のように、手のひらを水平として手首と肘の関節を直角に保ちながらポーズを形成したり、手を組み合わせてボックスを形成する事で表現するスタイルです。

カートゥーン・アニメーションのルーニー・テューンズに登場するキャラクターの”バッグス・バニー”の動きからインスピレーションを得て考案されたスタイルで、1980年の後期よりカリフォルニア州北部の都市オークランドのストリートダンサー達から広まりました。

現在はエジプトの壁画のような形をベースとするよりも、手を組み合わせて水平・垂直・奥行の関係性を保ちながら軌跡を形成していく事でより立体的な表現となっており、今日のアニメーションダンスにおいても積極的に採用されています。

また、他のスタイルとの組み合わせとしてポッピング、ウェーブ、ティッキングなどのバリエーション展開があります。

各種アニメーションスタイルの解説

アニメーションパートの「アニメーションスタイル」

今日のアニメーションダンス、オールドスクールアニメーションダンス、オールドスクールアニメーションスタイルのそれぞれがダンスの構成の中に設けているアニメーションパートの「アニメーションスタイル」は、ポッピンスタイル、ウェービンスタイル、ロボットスタイル、ティッキンスタイル、バイブレーションスタイルなどの各種スタイルからそれぞれ“要素”を抽出し、アニメーションパートの「アニメーションスタイル」へ取り入れる事によって成立しています。

アニメーションスタイルを構成する要素と2つのスタイル

今日のアニメーションダンスやオールドスクールアニメーションダンスの「アニメーションスタイル」の表現リキッドアニメーションスタイルをベースとした表現です。

そして、オールドスクールアニメーションスタイルの「アニメーションスタイル」の表現ストップモーション・アニメーションスタイルをベースとした表現です。

リキッドアニメーションスタイル

リキッドアニメーションスタイルは、今日のアニメーションダンスやオールドスクールアニメーションダンスのベースとなっている”流れるように動くロボット”を表現するスタイルです。

ブガルー・シュリンプが1983年にポッピン・タコと出会い、双方の持っている要素を補完して創り出されたスタイルで、1984年公開の映画「ブレイクダンス」(Breakin’)のほうきを使ったソロパフォーマンスシーンの冒頭で披露した事がきっかけとなり世界中に広がりました。

リキッドアニメーションの仕組み

リキッドアニメーションスタイルは、ロボットダンスの特徴である制限された各部位の可動範囲を解放し、この可動範囲を解放したロボットの動きへカートゥーン・アニメーションの特徴であるパラパラ漫画を細かく滑らかに映し出した動きの要素を組み合わせる事によって、”流れるように動くロボット”、すなわち”リキッドアニメーション”の表現となります。

身体の使い方のポイント

“リキッドアニメーション”の表現は、可動範囲を解放した”滑らかなロボットの動き”へティッキングの要素を入れて表現します。

身体の使い方のポイントは、ティッキングをフルで入れるのではなく、「ティッキングの要素」を動きの中へ溶け込むように小刻み且つランダムに細かいアクセントをつけながら行います。

そうする事によって、流すところは流し、カチ・カチッ…と一つ一つの動きのぶれを抑えるところは抑えた、滑らかさのある”リキッドアニメーション”の表現となります。

参考

流れるように動くロボット(リキッドアニメーション)をメインに表現したアニメーションダンスです。

ストップモーション・アニメーションスタイル

ストップモーション・アニメーションスタイルは、”アニメーションスタイル”とも呼ばれているオールドスクールアニメーションスタイルの事で、前述のリキッドアニメーションと同様、1983年にポッピン・タコがブガルー・シュリンプと出会い、双方の持っている要素を補完した事で創り出されたスタイルです。

ストップモーション・アニメーションの仕組み

ストップモーション・アニメーションスタイルは、レイ・ハリーハウゼンの創り出したクリーチャーの要素とストップモーション・アニメーションの動きの要素を融合したスタイルがベースとなります。

身体の使い方のポイント

ストップモーション・アニメーションスタイルの表現は、ベースとなるクリーチャーのノーマルな動きへバイブレーションの要素を入れて表現します。

身体の使い方のポイントは、バイブレーションをフルで入れるのではなく、「バイブレーションの要素」を動きの中へ溶け込むように小刻み且つランダムに細かいアクセントをつけながら行います。

そうする事によって、流れる動きの中にランダムに生じる”ぶれ”がストップモーション・アニメーションに出てくるクリーチャーの動きのような表現となります。

参考

ストップモーション・アニメーションスタイルをメインに表現したアニメーションダンスです。

次にやるべき事

アニメーションダンスで使われる代表的な各種スタイルとその関連性について理解した次にやるべき事は、オールドスクールアニメーションダンスのオリジネーターからダンスの表現方法を学ぶ事です。

今日のアニメーションダンスは、DubstepなどのEDMに代表される独特の強弱の激しい曲調と静かでエモーショナルな曲調のコントラストに合うように、ダンスの構成をオールドスクールアニメーションダンスの表現手法から再構築する事によって、見る者へ”スタイリッシュ”な感覚を呼び起こす事に成功しましたが、その表現構成を分解するとオールドスクールアニメーションダンスで培ってきた既成の各種スタイルと全て共通しているのが特徴です。

この事は裏を返すと、今日のアニメーションダンスの表現にはオールドスクールアニメーションダンスの基礎が重要であるという事を意味します。

そこで次回は、オールドスクールアニメーションダンスのオリジネーターであるブガルー・シュリンプに焦点を当て、オリジネーターがダンスの構成の中で各種スタイルをどのように使い表現しているのかについて解説します。

【第5回】ブガルー・シュリンプとアニメーションダンス

ブガルー・シュリンプのアニメーションダンスから学ぶべきポイント
ブガルー・シュリンプがダンスの構成の中で各スタイルをどのように表現しているのかについて解説します。
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アニメーションダンス動画

アニメーションダンスの動画をYouTubeで公開しています。また、各種ムーンウォークの動画も公開しています。

 

アニメーションダンス解説

アニメーションダンスを習得するポイントを全12回シリーズで解説しています。

全12回の解説でアニメーションダンスに必要な基礎知識を体系的にまとめているため、第1回から第12回までの解説内容を理解する事によって、全体像を捉えた上でアニメーションダンスに取り組む事が出来るようになります。

アニメーションダンス講座|12のステップでわかる基礎・技・練習方法
「アニメーションダンスの構造」を理解するために取り組むべき事を12のステップ形式で解説します。

それでは、またの機会にお会いしましょう。

KAIZOU NINGEN

ダンス研究家。専門はムーンウォークとアニメーションダンス。幼少期にマイケル・ジャクソンのメカニカルな動きを取り入れたダンスに影響を受け、1990年よりダンスの研究を始める。マイケル・ジャクソン没後10年特集番組へ情報提供(TBS「一番だけが知っている」:2019年)。

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