マイケル・ジャクソンの回転ムーンウォークのやり方|最終バージョン

マイケル・ジャクソンの回転ムーンウォークのやり方|最終バージョン

1987年のバッドツアーの来日公演で披露した“横浜スタジアムバージョン”の回転ムーンウォークは、1984年のヴィクトリーツアーの最終公演で披露した“ロサンゼルスバージョン”をベースとし、これまで披露した回転ムーンウォークの中で最もクオリティーが高いサークルフロート系回転ムーンウォークの頂点を極めた回転ムーンウォークでした。

この1987年のバッドツアーを境にマイケル・ジャクソンはこれまで開発してきたサークルフロート系回転ムーンウォークを一切封印し、もう一つの系統の回転ムーンウォークであるオリジナルムーンウォーク系回転ムーンウォークへ移行します。

それが映画「ムーンウォーカー」(1988年)のSmooth Criminalバージョンのオリジナルムーンウォーク系回転ムーンウォークです。

この回転ムーンウォークによって、マイケル・ジャクソンはオリジナルムーンウォーク系回転ムーンウォークの頂点を極めます。

そして4年後となる1992年のデンジャラスツアーでは、マイケル・ジャクソンがこれまでのパフォーマンスで披露した事のない、全く新しいバージョンのオリジナルムーンウォーク系回転ムーンウォークが登場します。

ライヴ・イン・ブカレスト

デンジャラスツアーの中で最も有名なライヴパフォーマンスは、ルーマニアのブカレストで行われたパフォーマンスです。

このライヴコンサートにおいて回転ムーンウォークを披露したのはSmooth CriminalとBillie Jeanで、このうち新バージョンの回転ムーンウォークはBillie Jean終盤のブレイクダウンで登場しました。

前半パートと後半パートの違い

Billie Jean終盤のブレイクダウンで披露した回転ムーンウォークは前半と後半のパートに分かれています。

前半のパートでは、上半身の動きを極力抑え、主に足の動きをメインに回転ムーンウォークが行われており、後半のパートでは、足の動きに加え、上半身の動きを組み合わせた回転ムーンウォークが行われています。

このうち、後半のパートが全く新しい”マイケルバージョン”の回転ムーンウォークです。

そしてこの回転ムーンウォークで着目すべきポイントは、身体の向きを変える際の「足捌き」にあります。

具体的には、前半のパートはSmooth Criminalで行われているジェフリー・ダニエル(Jeffrey Daniel)考案の回転ムーンウォークの足捌きとなっており、後半のパートではエレクトリックブガルーズ(Electric Boogaloos)のブガルー・サム(Boogaloo Sam)が考案した“オリジナルムーンウォーク”(Original Moonwalk)の回転ムーンウォークをベースとする足捌きとなっています。

マイケル・ジャクソンはこの表現の違いをきっちりと使い分けて表現しているのです。

オリジナルムーンウォーク系回転ムーンウォークの原型を乗り越えた回転ムーンウォーク

本来のムーンウォークの表現とは、足を交互に後ろへスライドしていくバックスライドの事ではなく、直立姿勢からリラックスした状態で360度の弧を描くように少しずつ方向を変えながら、いかにも身体が無重力の月面空間を漂っているかの様に歩行していく表現の事を指します。

これがブガルー・サムの考案した「オリジナルムーンウォーク」(通称”ムーンウォーク”)です。

このオリジナルムーンウォークを原型とし、ジェフリー・ダニエルがアレンジしてマイケル・ジャクソンが独自のバージョンとして確立したものがSmooth Criminalバージョンの回転ムーンウォークです。

そしてブカレストで披露した“マイケルバージョン”の回転ムーンウォークは、ムーンウォークの原点に立ち返り、マイケル・ジャクソンが直球勝負で挑んで原型を乗り越えた「超越型回転ムーンウォーク」としてオリジナルムーンウォークの直系に位置づけられる回転ムーンウォークとなっています。

原型と超越型回転ムーンウォークの違い

ブガルー・サムの原型(オリジナルムーンウォーク)と超越型回転ムーンウォークの違いは、“表現する空間の大きさ”にあります。

ブガルー・サムの原型(オリジナルムーンウォーク)は、いかにも身体が無重力の月面空間を漂っているかの様に緩やかに上下運動を推移しながら回転していく事で「フロア全体の月面空間」を演出した表現となっているのに対し、超越型回転ムーンウォークは、マイケルが立っている直径2mの空間が一瞬にして無重力の月面空間へと変化する演出となっています。

マイケルが選んだ最後のムーンウォーク

この超越型回転ムーンウォークは、1992年のデンジャラスツアーから1996年のヒストリーツアーにかけて登場しました。

特筆すべき点として、マイケル・ジャクソンはこの1992年のデンジャラスツアー以降、既存のムーンウォークを披露する事はあっても新技のムーンウォークを披露する事は無かったという点です。

1987年のバッドツアーでサークルフロート系回転ムーンウォークの頂点、そして1988年の映画「ムーンウォーカー」でオリジナルムーンウォーク系回転ムーンウォークの頂点を極め、さらに、1992年のデンジャラスツアーで”ムーンウォーク”の原点に立ち返り原型を乗り越えたこの超越型回転ムーンウォークは、己の限界を超える事に挑み続け、常に超えて来たマイケル・ジャクソンにとって、マイケルが到達したムーンウォークの最終形態であり、終着点であったのだと私は解釈しています。

以上を踏まえ今回は、超越型回転ムーンウォークとして位置付けられるマイケル・ジャクソン最終バージョン「足捌き」に焦点を当て、その仕組みとやり方について解説していきたいと思います。

回転ムーンウォークのやり方

参考

「マイケル・ジャクソン最終バージョン」は時計回りに足捌きで移動する動作と同時に、時計回りに体重移動を行う回転ムーンウォークです。

身体の使い方は”Smooth Criminalバージョン”の回転ムーンウォークの身体の使い方と共通している部分がありますが、Smooth Criminalバージョンとの違いは、身体の向きを切り替える際に、右足を前進してあらかじめ回転軸を作ってから向きを変えるのではなく、その場で右足のつま先を支点として身体の向きを変える点にあります。

回転ムーンウォークのやり方1

スタートポジションについて

両足を開いて立ちます。

つま先は軽く外側を向いています。

この姿勢がスタートポジションです(0)。

両足

つま先を床から軽く離し、かかとを軸に反時計回りへ回転します。

この時つま先は左足が5時方向、右足が6時方向を向くように回転します(1)。

左足

この回転ムーンウォークはSmooth Criminalバージョンと同様、時計回りに足捌きで移動する動作と同時に、時計回りに体重移動を行いながら軌道を描いていくため、左足のつま先を5時方向へ回転した後、かかとにかかっている体重を左足の外側側面(2)、そしてつま先方向へ移動します(3)。

右足

左足つま先への体重移動後、速やかに右足のつま先部分へ体重を移動していきます。

この右足への体重の移動中、徐々にかかとを浮かせていき、体重移動後は右足の指から指の付け根に体重をかけてつま先を立てます(2)。

体重

動作後、半分以上の体重は、右足の指から指の付け根にかかっています。

左足にもつま先部分に一部の体重がかかっていますが、床に添える程度としておきます。

回転ムーンウォークのやり方2

ここのパートでは、軸足となる右足を回転して身体の向きを変えます。

身体の向きは3時方向に切り替わります。

右足

右足の指から指の付け根に半分以上の体重をかけてつま先を立てている2の状態から、つま先を支点として3時方向へ反時計回りに回転します(3)。

回転後、かかとを下ろして床へ着地します(4)。

左足

右足を軸に回転している時に、左足は4’を経由してかかとを右足のかかとへ引き寄せるようにカーブを描きながらA点へ移動します。

右足のかかとが床へ着地するタイミングに合わせて、左足のかかともA点へ到着するようにします(4)。

左足のつま先は2時方向を向いています。

体重

動作後、体重は両足のかかとにかかっています。

「マイケル・ジャクソン最終バージョン」前半の動作の流れ

ここまでが「マイケル・ジャクソン最終バージョン」前半の動作です。

動作の流れをスローモーションで示したものが次の動画となります。

回転ムーンウォークのやり方3

ここからが後半パートの解説です。

このパートでは、つま先の向きを変えてもう一度身体の向きを回転し最初の位置に戻って来ます。

両足

つま先を床から軽く離し、かかとを軸に反時計回りへ回転します。

つま先は左足が11時方向、右足が12時方向を向くように回転します(5)。

身体の向きは12時方向に切り替わります。

左足

左足のつま先を11時方向まで回転した後、かかとにかかっている体重を左足の外側側面(6)、そしてつま先方向へ移動します(7)。

右足

左足つま先への体重移動後、速やかに右足のつま先部分へ体重を移動していきます。

この右足への体重の移動中、徐々にかかとを浮かせていき、体重移動後は右足の指から指の付け根に体重をかけてつま先を立てます(6)。

そしてつま先を支点として9時方向へ反時計回りに回転します(7)。

回転後、かかとを下ろして床へ着地します(8)。

左足

右足を軸に回転している時に、左足は8’を経由してかかとを右足のかかとへ引き寄せるようにカーブを描きながらB点へ移動します。

右足のかかとが床へ着地するタイミングに合わせて、左足のかかともB点へ到着するようにします(8)。

左足のつま先は8時方向を向いています。

「マイケル・ジャクソン最終バージョン」後半の動作の流れ

ここまでが「マイケル・ジャクソン最終バージョン」後半の動作です。

動作の流れをスローモーションで示したものが次の動画となります。

「マイケル・ジャクソン最終バージョン」の動作まとめ

一連の動作の流れをスローモーションで示したものが次の動画となります。

以上が「マイケル・ジャクソン最終バージョン」の回転ムーンウォークの1周目のやり方の解説でした。

2周目以降を行う場合は、「回転ムーンウォークのやり方1」の両足1の動作から行います。

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それでは、またの機会にお会いしましょう。

KAIZOU NINGEN

ダンス研究家。専門はムーンウォークとアニメーションダンス。幼少期にマイケル・ジャクソンのメカニカルな動きを取り入れたダンスに影響を受け、1990年よりダンスの研究を始める。マイケル・ジャクソン没後10年特集番組へ情報提供(TBS「一番だけが知っている」:2019年)。

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